
高付加価値商品へのシフトを強める国内タイヤメーカー4社。このほど発表した24年通期連結業績のなかで、財務の指標で企業の「稼ぐ力」を表すROE(自己資本利益率)とROIC(投下資本利益率)について、当期実績と次期見込みを次のように明らかにしている。
【ブリヂストン】24年のROICは8.2%、ROEは再編再構築費用約1000億円の計上もあり8.1%と、いずれも前年を下回った。25年はROIC9・2%、ROE7.2%と予想。ROICは「稼ぐ力」の強化で1ポイントの改善を見込む。
石橋CEOは「強い危機感を持ち、25年を緊急危機対策年として強いビジネス体質を築くことに注力する」とし、財務戦略面では収益性を向上すると語る。
なお、このほど最適資本構成(資本効率化)への施策として3000億円を上限とし自己株式の取得を行う。財務健全性と資本効率性の両立をめざし、24年末で65%の自己資本比率を25年末に60%レベル、中期的に55%をめざす。
【住友ゴム工業】24年ROICは6.5%まで改善し、27年中期計画目標を達成した。米国タイヤ製造子会社の生産終了により当期利益が大幅減益の99億円となったため、ROEは1.5%となった(23年度ROEは6・3%)。
25年度はROIC6・5%、ROE6・7%と予想する。事業利益率などはROEを除き26年度の中期目標を前倒し達成する計画だ。
【横浜ゴム】24年決算は1兆円の売上収益を達成し、資本効率については利益率の向上に努め当期利益749億円、ROEは9.2%だった。25年は当期利益815億円、ROEは9.2%を目標とする。
戦略投資はすべて完了し、自己資本比率は26年に50%を上回る見込み。なお、YX2026の財務目標は事業利益率12%、自己資本比率50%を目安とし、ROEは10%超としている。
【TOYO TIRE】ROEは23年の20.2%から24年は17.2%となったものの、中計’21の目標水準はクリアした。25年は売上高は販売本数増加で増収を見込んでいるが、海上運賃や為替の影響で営業利益は減益を予想している。