住友ゴムが長期経営戦略「R.I.S.E.2035」を発表  ゴム技術とブランド活用し成長を推進

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山本悟社長
山本悟社長

 住友ゴム工業はグループの長期経営戦略を策定し、7日発表した。2035年を見据え、三つの成長ドライバーで事業を推進。「ゴムから生み出す“新たな体験価値”をすべての人に提供し続ける」という2035年の目指す姿を達成し、Our Philosophy(企業理念)の具現化を進めていく。

 

 同社は長期経営戦略を「R.I.S.E.2035(ライズ ニーゼロサンゴ)」と名付けた。

 策定の背景には2023年にスタートした中期計画(中計)が順調に進捗していることにある。中計を通じ推進する構造改革や成長事業の基盤づくりが着実に進んだ。先に発表した24年度連結業績をみても、事業利益率が7.3%と中計で掲げていた27年目標を前倒しで達成した。

住友ゴム長期戦略1
住友ゴム長期戦略1

 また、構造改革では北米工場を閉鎖。一方で米グッドイヤー社から欧・米・オセアニア地域のDUNLOP商標権を取得した。それによりDUNLOPブランドでのタイヤ事業はグローバル展開が可能となった。

 中計でかねてからターニングポイントと位置付けていた25年度を迎え、このほど長期的な道筋を示し目指す姿を明確化したもの。

 発表にあたった山本悟社長=写真=によると、「R.I.S.E.2035」では同社が長年の事業活動で培ってきた二つの強みを最大に活かすという。一つはゴムを起点とした価値創造プロセスで高機能商品をつくり出す「ゴム・解析技術力」。もう一つはこれまでDUNLOPなど複数のブランドを立ち上げ育ててきた「ブランド創造力」。

 この二つを武器に、山本社長は「モビリティ・スポーツ・医療・暮らしのさまざまな領域で、お客様に喜ばれる価値を生み出す」との考えを示す。

 25−27年を「DUNLOPをさらに強くする」とし、タイヤのプレミアム化を推進し収益体質を改革する。続く28−30年を「確立したブランドで飛躍する」と設定。DUNLOPの拡大で創出したキャッシュを最大化し確固たるポジションを確立する。31−35年は「持続可能な事業体質を実現させる」とし、イノベーティブな商品・サービスを継続的に創出していくという。

住友ゴム長期戦略2
住友ゴム長期戦略2

 それを実現するための成長促進ドライバーが「ゴム起点のイノベーション創出」と「ブランド経営強化」、それに「変化に強い経営基盤構築」の三つだ。これらをベースとした戦略を確実に実行していく方針。

 事業利益率・ROE・D/Eレシオ・ROICについて、改定した27年度目標と30−35年度の財務目線、事業利益率の増減イメージは発表資料のグラフのとおり。消費財タイヤのプレミアム商品比率を27年50%、30年60%を目標とする。差別化技術であるアクティブトレッド技術採用商品で事業利益額の10%以上を確保したい考えだ。

 具体的なアプローチとして、今後ゴムの可視化技術を強化するためのイノベーションセンターを28年までに国内に設立。マーケティング力を強化しイノベーションを事業化する北米イノベーションラボを26年頃に設立するなど、新たなグローバル拠点を設ける。

 アクティブトレッド商品は27年度に欧州向けオールシーズンタイヤを発売。28−30年に「第3のスイッチ」を開発しEV用や超高性能スポーツタイヤに採用する予定。さらに研究中の「次世代スイッチ」を次世代モビリティ向けタイヤに搭載する計画。

 また今回、生産アロケーションを明確化した。国内工場とタイ工場を日・欧・米向けのプレミアム商品の生産・輸出拠点とする。省スペース化と自働化を実現する自社開発の次世代成形機を27年までに導入完了を目指す。

 グローバルで旺盛な需要をみせるSUV用タイヤについては新・製造システム「太陽」(サン・タイタン システム)で対応する。高いデザイン性と高真円性・軽量化を両立する新システムを開発し導入していく。

 これら新設備の導入に際しては、既存の生産拠点の操業を止めることなく移行可能な「イン・ハウス ニューファクトリー」という考えかたで進める。従来工場をリノベーションする方法だ。

 山本社長は長期経営戦略を確実に果たすことで「グローバルでティア1グループ入りをねらっていく」と述べ、目指す姿の具現化に強い自信を示した。

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