売上高で世界14位の韓国のクムホタイヤが、中国の青島双星(ダブルスター)の傘下に入る可能性があることが分かった。クムホタイヤの債権団がダブルスターを優先交渉対象者として選定した。売却額は約1兆ウォン(約973億円)とみられる。ただ、日本法人のクムホタイヤジャパンによると、「債権団がダブルスターを優先交渉対象者として選定したこと以外に決まった事実はない。最終的な優先買収請求権は現経営者が保有している」としている。また日本市場におけるビジネスへの影響はないという。
米専門紙ラバー&プラスチックニュースによると、2015年の売上高でクムホタイヤは14位の26億6300万ドル、ダブルスターは34位で7億4080万ドル。両社の売上高を合わせると、10位に付けるZhongce Rubber Group(中策ゴム)の33億9530万ドルを抜き、中国メーカーとしてはトップとなる。
ダブルスターは中国の国有企業、ダブルスターグループの企業で1996年に設立した。従来は靴や衣服の製造販売を手がけていたが、2002年からタイヤの生産や販売を開始した。青島に生産拠点を有しており、乗用車用タイヤやトラック用タイヤ、農業機械用タイヤの生産を行っている。タイヤブランドでは「DoubleStar」(ダブルスター)として世界で展開している。
クムホタイヤは1960年に創業。親会社のアシアナグループによる過剰投資の結果、2009年に債権団の監督下に置かれている。韓国や中国、ベトナム、北米などに生産拠点があり、消費財から生産財まで幅広い製品を供給している。年間生産能力はグローバルで約6500万本。中国国内には天津、南京、長春に工場を構えており、生産能力は合計3000万本と見られる。
なお、現地の報道によると仏ミシュランや中国のリンロンタイヤ、印アポロタイヤなどもクムホの買収を検討していたもようだ。