ブリヂストンのタイヤ開発の将来像は――。同社が7月20日に横浜市内のスケートリンクで開催したスタッドレスタイヤの試乗会に参加した技術スポークスパーソンの原秀男フェローに話を聞いた。
――スタッドレスのアイス性能はどこまで進化するか。
「今後10数年でアイス路面を夏タイヤのように普通に走行できるようになるのではないか。ただ、さらに上をいくためには、今の延長線上とは別の技術も必要になる。
例えばタイヤの形状そのものが変わるかもしれない。路面状況によってゴムが自在に変化するようなことも考えられる。以前発表した路面判定技術『CAIS』もこうした将来を見据えているものだ。
あるいは形状記憶合金のように、温度や電圧で形状を元に戻す技術を採用できれば、1種類のタイヤであらゆる路面を走行できるようになるかもしれない。ただ、実現するにはこれらをコントロールできるゴム材料の実用化やイノベーションが必要になる」
――イノベーションを起こすためには何が必要か。
「既存の商品や技術を組み合わせると凄いことができるというケースはある。例えば、自転車用タイヤにトラックタイヤのゴムを採用したら、ライフが飛躍的に高まるかもしれない。
また突拍子もないことを生み出すには、社内で人材登用や仕組みづくりを進めるとともに、異なる業界の方々と一緒になって取り組むのも良いチャンスだ。最近は外部のベンチャービジネスに携わっている方と議論をすることも多くなった。
情報技術に関しては、AIやIoTなど最新の技術を積極的に取り入れており、これから次々と新しいビジネスモデルが出てくると期待している」