タイヤメーカーや販売会社が、トラック・バス用タイヤの整備作業のレベルアップに向けた取り組みを強化している。活動を継続することで全体の技能が向上し、標準化が進められるなど着実な成果が表れてきているほか、安全に対する技術力や専門性が顧客から評価されるなど、その重要性は今後一層高まっていきそうだ。9月10日にブリヂストン、住友ゴム工業、横浜ゴムの3社がそれぞれ開催した整備作業や接客スキルの全国大会を取材した。
ブリヂストンタイヤジャパン 一般からも意欲的に参加
ブリヂストンタイヤジャパンは神戸国際展示場(兵庫県)で「技能グランプリ全国大会」と「生産財セールスマンコンテスト」を開催した。
技能グランプリは①安全作業徹底と標準化、軽労化②作業の高付加価値化③ソリューションビジネスを実現――この3つに主眼を置いた。8回目となった今年は、予選を勝ち抜いた44名が全国大会に出場した。
競技は、「1人作業」と「2人作業」の2部門を設けた。1人作業は左後輪の内外ローテーション作業を行うもので、規定時間22分以内に清掃・点検を含む丁寧かつ迅速な作業が求められる。また、2人作業は規定時間33分以内に左右前輪と左後輪のローテーション作業を実演。作業中に1人の作業員が電話応対で持ち場から離れるという場面が用意された。
会場では複数の審査員が作業標準の遵守度やコミュニケーション能力などを評価したほか、2人作業では作業員同士の連携も重要なポイントとなる。
今回、最優秀賞を受賞したのは、1人作業がブリヂストンタイヤサービス東日本ミスタータイヤマン野田店の間中元気さん、2人作業がブリヂストンリテール長野ミスタータイヤマン長野東店の倉石桂さん、笠原史統さん。
一方、今年で3回目を迎えたセールスマンコンテストは16名が決勝に進んだ。今回は労務負担の軽減や安全運行の確保などユーザーが抱えている課題を、同社が取り組んでいる新品タイヤとリトレッドタイヤ、メンテナンスを組み合わせたソリューションビジネスで解決する提案型の営業スキルを競った。
参加者はユーザーの情報や車両データ、タイヤの点検結果をベースに提案内容を組み立てて、19名の審査員が審査を行った。最優秀賞に輝いたのはブリヂストンタイヤサービス西日本タイヤサービス佐賀大和店の横山裕司さんだった。
ブリヂストンタイヤジャパンの古後秀典執行役員技術サービス本部長は、「各エリアの作業レベルが上がってきている。作業標準書に対して自主的に質問を出したり、事故になりがちな『ヒヤリハット』の事例を共有することが活性化に繋がる」と手応えを話した。
また番匠谷克志常務執行役員生産財販売統括本部長は、「予選参加者が年々増えている。今回は初めて一般の販売店が予選から参加し、また本選には代理店のスタッフも出場した。ただ、まだまだ参加人数が少ないのが現状だ」と話し、今後は一層、大会の規模を拡大していく意向を示した。
同社は今後も高度な作業技術を“価値”として顧客に提供するとともに、販売面でもソリューションビジネスとして幅広いユーザーに訴求していく考えだ。