横浜ゴムは11月1日に乗用車用プレミアムコンフォートタイヤの新商品「ADVAN dB V552」（アドバン・デシベル・ブイゴーゴーニ）を発売する。新商品のコンセプトは「車内の空気感を変える、かつてない静粛性」。“ヨコハマ史上最高の静粛性”を実現するため、パターンデザインやプロファイル、内部構造、部材レベルの設計まで全てをゼロから見直して開発した。近年、プレミアムカー以外でもニーズが高まっている“静かさ”は従来品と比較してどの程度の違いがあるのか――9月下旬に茨城県のプルービンググラウンドで開催した試乗会で確かめた。
「ADVAN dB V552」は2009年に発売した「ADVAN dB」の後継モデルで、「dB」ブランドとしては1998年に発売した「アスペックdB」から数えて5世代目となる。“ラグジュアリーの頂点へ”をコンセプトとしていた従来品を進化させた新商品は“車内の空気感を変える、かつてない静粛性”をテーマに、高い静粛性能がもたらす快適な車内空間の実現によって、ドライバーへ価値ある時間を提供することを目指した。
新商品がメインターゲットとするセダンクラスはここ数年のSUV人気に押されて苦戦が続いている。ただ、同社では「セダン市場は縮小傾向にある中、プレミアムセダンの販売は伸びている」と説明する。また近年はミニバンでもプレミアムクラスが増えているほか、以前は中大型車を所有し快適な車内を経験していたユーザーが小型車へ乗り換えるケースも少なくない。さらに車両自体が静かなハイブリッドカーや電気自動車の市場も拡大しており、「新たな需要の出現、所有する車型に限らず付加価値の高いタイヤ、静粛性を求める層は拡大している」（消費財製品企画部製品企画1グループの大前貴睦グループリーダー）。
こうしたニーズに応えるべく、新商品ではパターンデザイン、プロファイル形状、内部構造、部材レベルの設計に至るまで全てをゼロから見直して開発。野呂政樹常務執行役員は「当社の技術を緻密に積み上げて静粛性にこだわって作り上げた」と力を込める。
最新技術で性能を大幅に向上
今回、性能面では従来品比で騒音エネルギーを32％低減させ、静粛性を大きく向上した。さらにシリカの分散性を高めたコンパウンドを新たに採用することで、低燃費性能とウェットグリップ性能を高めた。その結果、国内ラベリング制度において、全サイズで転がり抵抗性能は“A”、ウェットグリップ性能は多くのサイズで最高グレードの“a”を獲得。また、乗り心地やドライ性能、ライフ性能は従来品と同等レベルを確保した。
「ADVAN dB V552」には、横浜ゴムのフラッグシップブランドに相応しく、同社がこれまで培ってきた多くの技術を惜しみなく搭載した。
新たに開発したパターンは、ブロックデザインを細分化したのが特徴。ブロックは小さいほど地面を叩く音が抑えられるため、新商品ではブロックを限界まで小さく、かつ5種類の大きさを織り交ぜて正確に配置した。また溝の配置をミリ単位で調整するなど徹底したこだわりを見せる。ほかにもブロックのエッジ部分をツイスト状にすることで剛性を上げ、サイプを非貫通にして安定性を高めるなど、あらゆる技術が詰め込まれている。
低燃費性能やウェット性能の向上は、新たな配合技術でシリカの分散性を改善したコンパウンドが寄与する。従来品より転がり抵抗は5％ほど抑制しつつ、ウェット制動は6％短縮、ウェット路での操縦安定性は8％向上させた。
ノイズは気にならないレベルに
試乗会では特に静粛性の確認に重点を置いてみた。まずプルービンググラウンド内にある特殊路で新旧商品を比較。従来品も静粛性には定評があったが、新商品では“ガーガー”というノイズがほとんど聞こえてこない印象だ。静かな車内で耳に集中すると、ようやく“音”が感じられるレベルだ。プレミアムセダンに装着して一般道や周回路を走行した際も耳障りな音がしっかり抑えられており、静粛性の高さはコンセプト通りだといえそうだ。
さらにミニバンを使用して高速域で走行してもパターンノイズが想像していたより小さいだけでなく、レーンチェンジ時の安定性が高いため、安心感を感じられる。これなら長距離を走行するシーンでも疲労感の軽減に繋がるだろう。
横浜ゴムが「驚きの車内空間を提供する」と自信を示す新商品「ADVAN dB V552」。全24サイズを展開し、プレミアムカーから軽・コンパクトまで幅広い車種に対応する。
