ブリヂストンが昨年9月から発売を開始した乗用車用スタッドレスタイヤ「BLIZZAK VRX2」(ブリザック・ヴイアールエックスツー)。シリーズの特徴であるアイス性能を向上したほか、一般性能についてもレベルを大きく引き上げている。1月中旬に北海道士別市にある同社プルービンググラウンド(テストコース)で、その性能を体感した。
試乗会ではトヨタ・プリウスに新商品と従来品(BLIZZAK VRX)をそれぞれ装着。雪上のハンドリング路やS字コーナーでの運転を行う中で、「VRX2」の進化を最も大きく感じられたのはアイス路面で発進時だ。
新商品は停止状態からアクセルを踏み込むと、氷を“ギュッ”と掴む感触が伝わってくる。わずかに水が浮きタイヤが空転しやすい路面でもしっかりとグリップし、車体が力強く確実に加速していく印象で、従来品よりも不安感が少ない。
このグリップ力は従来より10%の性能向上を達成した氷上ブレーキでも威力を発揮した。時速20kmからブレーキを目一杯踏むと、従来品に比べて車半分ほど手前で停止する。その際の挙動もスムーズで、車両が左右に揺れたり滑っていく感触はなかった。
これはブリヂストンの独自技術「アクティブ発泡ゴム2」と、新開発した非対称パターンによるものだ。同社PSタイヤ開発第5部の田辺信貴ユニットリーダーは、「滑りの原因である水膜を除去して接地を追求した新たなゴムと、接地とひっかきを追求した新パターンを開発した」と話す。特にパターンはあえてサイプの数を減らすことで、個々のブロックを大きくして変形を抑制。これにより十分な接地面積を確保することが可能となった。
ブロックの剛性が高まったことは、雪上路でのハンドリング性能の向上にも寄与しているようだ。時速30kmから40kmで軽くアクセルを踏みながらハンドルを切っても横滑りすることはなく、スムーズに応答するため、ドライバーの操作が少なくて済む。
一方、「非降雪エリアではドライ・ウェットなどでも使用されているため、アイスに特化したタイヤではなく一般性能も含めた総合性能が必要」(田辺氏)となる。そのため、新商品はライフ性能やドライ路面での静粛性もバランス良く向上させている。