“技術の視覚化”という、従来の概念とは異なる視点からタイヤ整備サービス機器の開発に取り組むエイワ(兵庫県西宮市、前中勝彦社長)。乗用車用タイヤチェンジャーでは「New WING」シリーズを展開し、新風を巻き起こしている。その同社が2018年の新製品第1弾として上市したのが、「WING PFZ245」(ウィング・ピーエフゼット・ニーヨンゴ)。同社の特許技術「プレミアムFOUR(フォー)シリンダー」採用のプロモデル、「WING PFX24」をマイナーチェンジし、この1月から本格発売を開始した。商品部の杉村幸二部長が技術解説とデモ操作を担当してくれた。
マーケティング用語に、科学的根拠に基づき店づくりを行い顧客の購買を促進させる仕掛けを意味するパーチェスプロモーション活動がある。同活動において、人(ひと)がもっとも重視する五感とは何か。それは視覚だという。その視覚への訴えかけをタイヤチェンジャーという製品で具現化したのが「New WING」シリーズである。
シリーズを代表する機種、「WING CZX24-A」は2016年度グッドデザイン賞を受賞した。グッドデザイン賞は単に外観デザインが優秀なだけでは選ばれない。そこに操作性や品質がともなって初めて評価されるのである。「New WING」シリーズが見る者に強烈なインパクトを与えるデザイン性を有し、かつ優れた操作性を両立していることは、同賞の受賞でまさに折り紙付きである証となった。
新製品「WING PFZ245」はその系譜を受け継ぐもの。外観デザインは深い質感を醸すグレーをベースカラーに、ブラックをアクセントとして配した。プロショップ向けに、定評の「プレミアムFOURシリンダー」を引き続き採用している。
「プレミアムFOURシリンダー」とは、ターンテーブルに独立した4本のシリンダーを搭載し、その4本のシリンダーをクランプに直結させたことによりワンストロークでチャッキングするもの。
杉村さんは「ホイールへの力が均等にかかり、稼働時のタイムラグも発生しないので、均一で確実なチャッキングを実現することができます」と説明する。リム径10インチから24インチまで、切り替え無しでのワンストロークチャッキングが可能だという。
また、ターンテーブルの位置は一般的なタイヤチェンジャーに比べて低いポジションに配置した。「重量のあるタイヤ・ホイールを毎日取り扱うことを考えると、作業ポジションは適度に低いほうが作業しやすい」という設計思想に基づく。
これに新開発の「タイヤリフトWL-5」を組み合わせることで、作業者は重いタイヤ・ホイールを床から持ち上げることなく、またホイールへのキズ付けを気にせずターンテーブルにセットすることを可能にしている。
さらに「WING PFZ245」で進化させたのがチャッキング能力。24インチという大口径ホイールをクランプ作業するときに、シリンダーの総幅を24インチではなく25インチと、1インチ分のゆとりを持たせた。
杉村さんは「1インチの余裕があることで、ホイールを斜めの角度からではなくストレートに置いてセットすることを可能にしました」と説明する。
超偏平タイヤやランフラットタイヤなどの場合、一旦ビードを落としてもビードが戻ることが多い。そのため、サポート装置を使ってホイールをクランプさせようとしても、斜めの角度からではクランプすることが困難である。
だが、新製品では24インチ対応のチェンジャーでありながら25インチをチャッキングする能力を持つため、作業者は安心してクランプ作業を行うことができる。またこれはリバース作業にも対応しているという。
ビードブレイク時にビードブレーカーアームが所定の位置で自動的に開く「パワーアウト(PO)システム」は前モデルと同様、標準で装備。超偏平タイヤやランフラットタイヤに最適なレバーレス機能「QXレバーレスシステム」や、オールインワンサポートの「HP」、フルサポートの「HELP&プレスアーム」など、オプション品も豊富に用意している。
「チェンジャーはタイヤショップの技術力を可視化する重要な媒体」と位置付けるエイワ。杉村さんは「プラス1インチの余裕という新しい発想を具現化したターンテーブルとプレミアム4シリンダーが、安全で確実な作業と作業効率の向上を実現しました」と、「WING PFZ245」に採用した新機能を強くアピールしている。