エイワ(兵庫県西宮市、前中勝彦社長)が注力し取り組んでいるのが“技術の可視化”だ。人(ひと)が五感の中でもっとも重視すると言われる視覚。“技術の可視化”とは整備機器の外観デザインやフォルムによって、見る人に直感的に、プロショップが有す技術力の高さを印象付けようというものだ。
そのコンセプトに則って上市した乗用車用タイヤチェンジャー「New WING」シリーズ。市場で好調な販売推移をみせている。そのコンセプトをホイールバランサーでも展開しようと、このほど企画し開発したのが「Three Lines CIRCUIT」(スリーラインズ・サーキット)シリーズである。シリーズ第1弾として「C7425 Air/C7465 Air」を発売した。商品部部長の杉村幸二さんがデモ操作しながら技術的な解説を行った。
“技術の可視化”をホイールバランサーで表現
「C7425 Air/C7465 Air」でもっとも特徴的なのがその外観デザイン。杉村さんはそれを「エルゴデザイン」と呼ぶ。「エルゴデザイン」は人と機器との関係性に着目し、人が使いやすいよう形やデザインで造形表現したもの。「C7425 Air/C7465 Air」では、「エルゴデザイン」の設計思想によりボディと主軸の位置関係を見直している。
従来機の場合、ボディ前面部より主軸が奥側に位置するため、ホイール取付時に作業者は前屈みの姿勢を取らざるを得なかった。それに対し、新製品は主軸部がぐっと手前側にきているのでホイール取付時の作業者立ち位置に主軸が近くなり、取付の際の労力を大幅に軽減させたのだ。
さらに、ボディと作業者とのクリアランスが確保されている。ホイール取付時にボディとの干渉が少なく、自然な姿勢で取付作業ができる。オプションのタイヤリフターと組み合わせることで、一層の軽労化と作業性の向上を実現した。
この「エルゴデザイン」によってホイールがボディよりも前に出てホイール内面がよく見えるようになった。修正作業時のウェイト貼り付け位置の視認性向上にも役立っている。
また内面のウェイト修正位置を赤色レーザーで示す「修正位置指示レーザー」を搭載しているが、その照射方向を時計の針で「5時の位置」で示す工夫を行った。「一般的な『6時の位置』に比べ視認性が良く、作業をする空間がより広く確保でき、貼りやすくなります。『エルゴデザイン』と相俟って修正時の作業性をより高めました」と、杉村さんが実演しながら説明してくれる。
開発に際して、パートナーメーカーである伊CEMB(チェンブ)社と検討を重ねた結果、エイワの「C7425 Air/C7465 Air」には、「5時の位置」でのレーザー照射の採用が実現したそうだ。ユーザーがより使いやすいために、という意味では、これも「エルゴデザイン」と共通している。
新製品には前モデルを踏襲し「フルストローク式エアーロック」を採用した。ハンドルロック式の場合、作業者によって締め付ける力が異なってしまうこと、右手でハンドルを持ち片手での取付になりがちなことから偏芯装着を起こしやすいと言われる。「フルストローク式エアーロック」によって一定の力で取り付けることができるので、装着誤差を大幅に低減した。杉村さんは「装着誤差は髪の毛1本ほどの偏芯であっても残留アンバランスとして現れ、それがクルマの振動につながります。定評ある『フルストローク式エアーロック』によって装着誤差を低減することで残留アンバランスをなくし、高い精度のバランス測定を実現しています」と説明する。
ウェイトトレーにはハニカム(蜂の巣)デザインを採用した。ウェイトの収納量をアップさせるとともに、外観デザインの向上にも寄与するものだ。
そのほか、①スポークリム時に貼り付けウェイトがスポーク裏に隠れるよう自動演算する「スプリットプログラム」②ディスタンスとリム径の自動入力機能③ウェイト修正位相を考慮しスタチックアンバランスが少なくなる「スタチックミニマイジング」④タイヤとリムの最適な組み合わせを検出する「ベストマッチング機能」⑤「アルミモード」――などを標準搭載。また打ち込みウェイト修正にリム幅を自動入力する「リム幅ソナー」をオプションで用意している。
「C7425 Air」は見やすく扱いの容易なディスプレイを採用。「C7465 Air」は液晶モニターへとバージョンアップすることで、最先端の機能とソフトを搭載した。
「高精度のバランス修正により得られるタイヤのスムーズな転がり、快適なドライブのイメージを、ボディに貼付した3本のライン=Three Linesで表現しました。ブラック~グレーのグラデーションはチェンジャーの『New WING』シリーズと同様、カラーリングでも“技術の可視化”を図るもの。プロショップの皆様にお奨めのバランサー新製品です」、杉村さんはそうアピールしている。