自動車の試験・整備機器およびシステムの専門商社であるイヤサカ(東京都文京区)は、同社にとって最大規模となる首都圏トレーニングセンター(千葉県印西市)を改修した。6月14日と15日には内覧会を開催。独自機能を搭載した足廻り機器を数多く取り揃え、ユーザーの作業品質向上や軽労化を支援する取り組みを進めている。
関東を中心に新潟県や静岡県などのユーザーも迎える首都圏トレーニングセンターは、足廻り・板金棟と検査ライン棟を擁している。数多く設置された機器の中で目をひいた足廻り製品は、米ハンター社のユニフォーミティホイールバランサー「ロードフォースエリート」だ。
この機器はアンバランス測定機能のほかに、タイヤに起因する振動・横流れを診断できるのが特徴。製品に搭載したロードローラーがタイヤに荷重をかけて車両の走行状態を再現し、振動の原因となるタイヤ剛性の差異などを測定する仕組みとなっている。
さらに、車両に装着しているタイヤを4本すべて測定すれば、個々のタイヤのラテラルフォース(横方向への力)を考慮した最適なタイヤ取り付け位置が診断できる。
これらの測定結果をもとに組み付け作業やローテーションを実施することで、ホイールバランスやアライメントを修正しても改善が難しかった乗り心地の問題を解決することが可能だという。
そのほか、アンバランス調整時に役立つハンター独自の「スマートウエイトテクノロジー」を採用。これはヒトが感知できる範囲でアンバランス測定を行うもので、ウエイト使用量の削減が望まれる。
実際にトレーニングセンターに設置しているバランサー「GSP9200」のウエイト削減結果を確認したところ、1318回の測定で従来モードだと7万6700gのウエイトが必要だったのに対し、スマートウエイトでは45.3%少ない4万1965gで済んでいた。
この技術を活用すると、アンバランス調整にかかるコスト削減が期待できる。さらに、ウエイトの貼り付け作業を最小限に抑えるため、作業時間の短縮も見込める。
肝心の振動原因の測定については、体感が異なる縦揺れと横揺れそれぞれに別の評価値を設けており、従来と比べても十分満足できる乗り心地を実現するという。
また作業時間の短縮に対しては、ハンターのホイールアライメントも注目だ。このシステムでは、4つのカメラを搭載した「ホークアイHE421カメラセンサー」がターゲットの状況を読み取り、その数値が「WA670システムコンソール」へ送信される。
ポイントは、タイヤへのターゲットの取り付けがワンタッチででき、約2分で完了するクイック診断モードを導入していること。短時間で測定した数値は診断レポートとして紙に印刷できるため、顧客へのアライメント調整の提案もすばやく行える。
ハンター「レボリューションタイヤチェンジャーTCR1S」は、全自動で組み付け作業を行う製品だ。作業者はタイヤを持ち上げる必要もなく、タイヤの脱着からエアー注入時の空気圧まで自動でオペレートできる。
また、レバーレスで作業できるため、タイヤやホイールを傷つける心配がない。担当者は「特にランフラットタイヤの作業で好評を得ている」と話していた。
同社では首都圏トレーニングセンターのほかに、全国の支店で研修施設を併設しており、さらに今月には中部エリアを対象に、岐阜県でもトレーニングセンターを完成させる予定だ。多様な機能を搭載した整備機器のほか、同社が開催する研修会を通じて、ユーザーに提案していく。