アジア・パシフィック地区最大級のタイヤ・ホイールの専門展示会「中国国際タイヤエキスポ(CITEXPO)2018」が8月20~22日の3日間、上海・世博展覧館で開催された。16回目となった今回は現地メーカーを中心に約400社が出展し、独自の製品展示を通じて新規顧客の開拓を目指した。販路拡大に向けた施策や、米中貿易摩擦への対応など、今後の事業方針について複数社のタイヤメーカーに聞いた。
HIXIH GROUP(華勤グループ)「来年から日本進出へ」
同社はこれまで「ROADONE」(ロードワン)ブランドでトラック・バス用タイヤの製造・販売を行ってきたが、8月上旬に伊ピレリと合弁会社を設立し、乗用車用タイヤ事業の本格展開に乗り出した。
初出展となった今回のブースは、中長距離を走行するトラック用タイヤ「GD58」や駆動軸用「RD25」に加えて、SUV用タイヤも紹介した。
今後の事業戦略について、牛飛(ニュウ・ヒ)ゼネラルマネージャーは、「これまでは中国国内のみで販売してきたが、今後は日本を含む海外市場を積極的に開拓していく」と語った。
GUIZHOU TYRE(貴州タイヤ)「ベトナム工場を2019年に稼働開始」
ブースでは、グローバルブランド「ADVANCE」(アドバンス)から大型ショベルローダー用タイヤの代表商品を出品した。
2017年のタイヤ販売数量は前年比3.0%減の505万5200本で、うち海外販売が約4割となった。特に北米は同社にとって最大の輸出先で、海外全体の約3分の1を占めている。だが、最近は米中間の貿易摩擦が激化し、米国が中国製タイヤに追加関税を課す懸念が強まっている。
游傑(ユウ・ジャック)総経理は「生産を海外に移行させるとともに、来年は国内の販売比率を現在の6割から7割に高めていく」と話していた。なお、同社にとって初の海外生産拠点となるベトナム工場は2019年に稼働を開始する予定。
MAXTREK(マックストレック)「日本市場向けのスタッドレス新商品も」
乗用車用タイヤブランド「マックストレック」と「ANTARES」(アンタレス)シリーズを展示。
日本で「マックストレック」の月間販売本数は1万本程度という。また、「アンタレス」は月間約2000本だが、2019年には冬タイヤの新商品を日本市場に投入する計画で、更なる販売拡大を目指す考えだ。
林俊航(リン・ジェーソン)マネージャーは「新商品は日本市場専用に開発したもので、サイズ数などの詳細はお客様と調整中」としている。
FANGXING RUBBER(方興ゴム)「品質向上を最優先に」
「OPALS」(オパール)や「GLEDE」(グライド)など複数のブランドを有している同社は中国国内市場に重点を置きながら、欧州や中東など50以上の国・地域で販売を行っている。
年間のタイヤ生産量は乗用車用1200万本、トラック・バス用300万本、建設車両用10万本となる。劉麗芹(リュウ・レイキン)マネージャーは「クオリティーを確保した上で、増産などを検討する」と品質の向上を第一にする考えを示した。
RYDANZ(ライダンズ)「価値のある中国ブランドを目指す」
同社は2011年に設立した新興企業で、乗用車用タイヤ事業を行っている。
日本市場では比較的競合相手の少ないレース用タイヤのカテゴリーに注力している。なお、来年は日本でD1グランプリに参戦することを明らかにした。
海外販売を担当する黄佑鈞(コウ・ルイス)ディレクターは「将来的には『ライダンズ』を価値のある中国ブランドに育てていきたい」と話した。
NEW CONTINENT TIRE(新大陸タイヤ)「中国国内で販売拡大へ」
オフロードタイヤを強みとする同社は、「Comforser」(コンフォーサー)ブランドのマッドテレーンタイヤ「CF3000 M/T」の装着車両を展示。
同社は総販売量のうち、SUV用が6割以上を占める。特に20インチ以上のサイズが多く、北米や欧州などでの販売が好調だという。
劉国琳(リュウ・ギャビン)ゼネラルマネージャーは、「生産量の約8割が海外向けとなっているが、今後中国国内市場での販売にも注力していきたい」と語った。
HUASHENG RUBBER(華盛ゴム)「海外の販売比率、引き上げへ」
主力ブランド「Kapsen」(カプセン)の乗用車用コンフォートタイヤ「S801」などを出品した。
王小彩(オウ・ショウサイ)副総経理は「海外の販売比率を増やしていきたい。関税措置で減少した分を他地域でカバーしていく」と今後の事業計画を語った。