住友ゴム工業はトルコ工場の生産強化に伴い、現地向けのタイヤ販売量を2022年に現在の約1.5倍となる100万本に引き上げる。今後、同工場からの供給を増やすことで国産品として為替や関税のリスクを回避できることも追い風になる。新車の生産・販売台数が増加し、安定的なタイヤ需要の拡大が見込まれているトルコ市場で、現在140店舗ある取引先のタイヤ販売店を今後毎年30店舗ほど増やす計画で、シェアを6%程度まで高めていく。
成長続く新車市場 タイヤ需要も拡大
トルコ市場の2017年のタイヤ需要は新車用と市販用を合わせて2251万本となり、5年前の2012年と比較すると約2割増加した。2018年以降も毎年右肩上がりで伸び続け、2022年には約2589万本となる見込みだ。
好調な需要の背景には成長を続ける新車販売がある。生産台数も2017年に過去最高を記録した。こうした有望市場において、住友ゴムでは新車用タイヤは自社が直接手掛け、市販用のビジネスは2013年から現地の大手タイヤ販売会社、AKO社を通じて販売を行ってきた。
市場では早くから工場を構えていた米グッドイヤーやブリヂストンなどグローバルメーカーからローカルメーカー、各社のセカンドブランドまで様々な商品が流通している。住友ゴムは「ダンロップ」ブランドをプレミアムゾーン、「ファルケン」を中価格帯で展開しており、トルコでのシェアは2つのブランド合計で4%ほど。
担当者によると、ユーザーの9割以上はタイヤ販売店で購入するという。そのため将来の成長に向けて取引先をいかに増やせるかが重要となってくる。現在、ダンロップの看板店は103店、ファルケンは37店あるが、今後毎年30店舗前後を新規開拓し、2022年に市販用の販売量を100万本に増やしたい考えだ。
一方でライバルと比較して商品ラインアップがやや不足しているという見方もある。2022年にはほぼ全量を現地生産に切り替える予定だが、その先には販売量と生産コストとのバランスを図りつつ、顧客の期待に一層応えていくことも必要となりそうだ。