トルコ市場で販売拡大に取り組む住友ゴム工業。現地ではどのような評価を得て、市場に受け入れられているのか――。数年前より同社ブランドを販売しているタイヤショップを取材した。
ファルケンタイヤは品質と価格で評価
トルコの首都アンカラ市の中心部にはタイヤなど自動車部品の販売店が100以上も軒を連ねているエリアがある。トルコではユーザーの利便性からタイヤに限らず同じ業態が一カ所に出店するのが一般的だという。
その中のひとつがファルケンの看板店「アリ・ダユ・オト・ラスティック」。昨年実績で1万1400本のタイヤ販売量を誇る同店は2015年3月に取引を開始した。オーナーのハルク・テペジッキ氏は「ファルケンの認知度はまだ低いかもしれないが、高い品質と手頃な価格で競争できる」と期待を込める。
日本企業が持つ信頼性も有効な訴求ポイントで、購入したユーザーからは特にグリップ力や静粛性が評価されている。今後、一層の拡販に取り組む考えで、「将来は看板店を広げていきたい」と更なる事業拡大への意欲を話していた。
“国産品”として競争力向上も
同じくアンカラに店舗を構える「キラズ・ラスティック・オトモビル・インシャート」は2015年3月にダンロップの看板店となった。販売量は年間3400本(2017年)で、取り扱いの9割近くをダンロップブランドが占める。
店舗オーナーのアイクット・キラズ氏は、「ダンロップは歴史があり、新車で装着されているクルマも多いためトルコでプレミアムブランドになっている」と、契約にいたった理由を挙げる。
同店の場合は数量を追うよりも高付加価値タイヤで利益を拡大していくことに重点を置いているようだ。官庁街にほど近く、独BMWやメルセデスといったプレミアムカーを所有する富裕層の来店頻度も高い。こうした顧客からは新車装着タイヤと同一モデル、高インチのプレミアムタイヤが支持されているという。
また、「住友ゴムがトルコで現地生産することによって以前より納品が早まった」と評価しており、国産品として供給が増えることで、一層のブランド力向上にも期待する。
さらに、「以前は輸入品としての扱いだったが、現在は他社のライバルブランドとして競争できるようになった」とマーケットの変化を好意的に受け止めており、今後も住友ゴムやAKO社との信頼関係をより強固なものにしていく考えを示した。