創業60年へ、助走強める タイヤガーデン日立タイヤ

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カテゴリー: ディーラー, レポート

 今回は茨城県タイヤ商工業協同組合に加盟する日立タイヤを訪問した。グリーンを基調とした「タイヤガーデン日立タイヤ」の看板が遠くからでもよく目立つ。代表の小澤敏一さん、その子息である小澤敏正さんが出迎えてくれた。

(左から)小澤敏正さん、小澤敏一社長、米倉さん

 小澤敏一さんの父、敏正さんにとっての祖父が元となるタイヤ店を興した。荷車や馬車のタイヤが主だったというから、時代を感じることができる。その後SSを手掛けるなどし、タイヤの商売から離れたそうだ。

 そのタイヤ店で働いていた従業員の方がのれん分けする形で独立し常陸太田市内に店を出したという。敏一さんはのれん分けされた店のほうでタイヤの焼き付け部修や再生タイヤに取り組み腕を磨く。その後、日立タイヤ・ゴム工業所という店名で常陸多賀に出店し、日立市内の現在地とは異なる国道6号線沿いに移転した。

 現在の日立市滑川本町4丁目25―18へと移ったのは1974年頃だそうだ。またタイヤガーデンの名を冠したのは15年ほど前だという。

 店の現在地は、日立市と福島県いわき市とを結ぶ県道10号線沿い。古くからの民家が建ち並ぶ住宅地の一画に門を構えている。常磐高速道路の日立中央ICと日立北IC、両インターチェンジからそれぞれ10分ほどのところに位置しているので、高速道路を利用するドライバーや運送事業者にとって利便性が高いエリアだ。

ベースは“顧客ファースト”の視点

 日立市と言えば、総合電機メーカー、日立製作所の創業の地。昔も今も、日立グループの企業城下町だ。グループの勢いがピークの頃は茨城県の県庁所在地である水戸市よりも人口が多かったが、現在は20万人を割り込み17万8000人強。つくばエクスプレスが開通し東京のベッドタウンとして成長を遂げるつくば市にも抜かれ、県内第3位に甘んじている。

消費財から生産財タイヤまで幅広い分野に対応する

 3代目として店を切り盛りする小澤敏正さんは、「ここは良くも悪くも日立の町。企業グループが成長している時代は町全体が活気に溢れていた。だがグループの各企業がリストラを断行し事業所数が大きく減り、人も他所へ流出してしまった」と、地域の勢いに陰りが生じていることを肌身で実感している。

 そうは言っても、日立市は伝統ある物づくりの町。地域の産業を支える物流網は整えられており、それにともない生産財タイヤの需要は底堅い。タイヤガーデン日立タイヤでは地元有力企業の輸送トラックやバス、フォークリフトをはじめとする産業車両、それに建設車両と、TB・ID・ORの分野を中心に、幅広い顧客のニーズにきめ細かく対応。地域密着型の老舗タイヤ店としてオールマイティに事業展開してきている。

 創業60周年を間近に控えるタイヤガーデン日立タイヤ。今年、大きなトピックがあった。7月に個人店から転換し株式会社として法人登記を行ったのだ。小澤敏正さんによると、顧客に大手企業が多く取引の際に法人としての契約を必要とされることがあるため、このほど決意したそうだ。

 その敏正さんに、お客様に長く愛されてきた理由は何だろうかと訊いてみた。少し思案してから「無理に売るようなことをして来なかったからかな」という答えが返ってきた。

 「1本でも多く売りたいと、少し減っただけなのに新品への交換をお勧めする  そんなふうにガツガツとした商売を行っていたのでは嫌がられるし、お客様に損をさせるようなことになれば信用を失ってしまう。お客様の立場に立ち、長いスパンで商売を考えなければ」、そう続ける。

 だからであろう。たとえばフリーのドライバーがタイヤ交換を考え来店した際、他店との比較をしてから再来店を促すこともあるという。これも「お客様が後悔しないように」(敏正さん)とのこと。顧客ファーストの意識が商売のベースになっている。それが自然体で現れるようだ。

 敏正さんは店を継ぐ前に7年間、地元のカーディーラーに就職した。自動車専門学校で2級ガソリン自動車整備士と2級ディーゼル自動車整備士、2つの国家資格を取得し、知識と技能を身につけていた。タイヤ単体ではなく、自動車全般からタイヤを俯瞰できることも、タイヤガーデン日立タイヤの“ウリ”だ。
 「タイヤをわかっているつもりでも、クルマのことがわかっていないと、この仕事はうまくいかない。そういう意味ではカーディーラーに務めていたのは無駄ではなかった」と述懐する。そんな経歴を活かし、関東運輸局長認定の『優良自動車整備事業者特殊整備工場』の看板を取得しているのも強みの一つ。それが他店との差別化に繋がっている。
 同店は現在、3人体制。今後を考えると、人員を増やしたいという意向を敏正さんは持つ。創業60周年に向け、助走の勢いを一層強めている最中だ。


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