住友ゴム 中国初の本格FC網を構築

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カテゴリー: ニュース, レポート, 現地

「D-ガード」は2017年に200店舗へ拡大する

2020年にシェアトップへ

 住友ゴム工業は中国市場で小売店向けの販売施策を強化する。今年から新たな販売チャネルとしてスタートした総合メンテナンスショップ「D-ガード」の出店を2016年以降加速させ、中国で初となる大規模フランチャイズ網の構築に乗り出す。景気減速による個人消費の低迷など懸念材料はあるものの、依然として新車販売台数世界1位の中国市場で安定的な販売体制を確立し、グローバルメーカーとしてトップシェアを目指す。

 同社が新チャネルと位置づけるD-ガードはタイヤ販売以外にオイルやバッテリー交換など各種メンテナンスサービスをトータルで提供する店舗形態。昨年末に福建省・厦門に1号店をオープンして以降、現在は上海や成都といった都市部で5店舗を展開している。

 従来のタイヤ販売店との間では販売本数に比重を置いた契約を行っていたが、D-ガードでは運営ノウハウの提供やスタッフの教育まで踏み込むことにより、全ての店舗で統一した高いレベルの店舗運営を目指す。

 D-ガードの主なターゲットは中間層以上のユーザー。顧客との接触頻度が高い洗車サービスを来店の切り口に、車両点検を通じてタイヤ交換など各種メンテナンスサービスへと繋げる。

 中国では洗車価格は一般的に20元(約400円)程度とされているが、作業者の技量不足や設備面から仕上がりに不満を持つユーザーも少なくないという。

 それに対し、D-ガードでは現地ではあまり例がない撥水洗車を採用し、一般価格の3倍~5倍程度に設定した。また全ての作業を店内で実施するとともに、スタッフによる車両の誘導や送迎など、日系企業ならではの接客の基本を徹底的に教えこむことで他店との差別化を図る。

 さらに今後は新たに開発した顧客管理システムを導入し、従来の“待ちのスタイル”から“攻めの店舗”へと小売店経営を変革していく。

 店舗で来店客の車両情報や購入履歴を入力し、蓄積したデータを基に同社が店舗ごとに強みや課題を抽出して販売促進の支援を行う。また中国で広く普及している無料メッセンジャーアプリ「微信」(ウェイシン)を活用して顧客へ積極的なアプローチを行い、安定的な売上増へ繋げていく。

 10月には中国最大のECサイト「天猫」へインターネット旗艦店を出店しO2O(オンライン・ツー・オフライン)ビジネスにも着手する。同社がモールを出店し、各店舗が決済や取り付けサービスを行うが、「作業を実施する店舗の品質が高ければ高いほど、顧客満足度は向上し、固定客へ繋がる可能性が高くなるため商機は十分にある」(住友橡膠(中国)有限公司の濱田裕史シニアゼネラルマネジャー)。

上海市内
上海市内

 中国ではチャネル構成比の9割弱を占めるタイヤ専業店をいかに多く取り込めるかが成長への重要なカギとなる。その中で同社では年内にD-ガードをさらに5店舗オープンする計画。来年以降は出店を本格化させ、将来的には中国で初とされる大規模フランチャイズ網を構築していく。あわせて従来型店舗も地方を中心に増やすことでダンロップの取扱店数は年内に4500店舗へと拡大する見込みだ。

 同社の予測では中国における市販用と新車用を合わせたタイヤ需要は2020年時点で2億5000万本。市場全体ではプラスを維持しているものの、経済悪化や国内消費の落ち込みにより、近年は低価格志向が強まっている。またアジアブランドが低価格を武器に勢力を急拡大させるなど競争は激化している。

 住友ゴムではこの数年、成長著しい地方を中心に販売を伸ばしてきたが、「地方でも中国メーカーの勢いが増してきており、トップブランド全体のマーケットボリュームが伸び悩んでいる状況」(同)だという。

 こうした中、同社では小売店の展開を強化することにより、価格競争とは一線を画した戦略を進め、2020年には中国市場においてグローバルメーカーでトップとなるシェア10%を目指す。

 関連:住友ゴム 中国市場で新チャネル展開「攻める店舗へ」


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