東洋ゴム マレーシアの2工場を軸にアジアで攻勢図る

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カテゴリー: レポート, 現地

東洋ゴム マレーシアの2工場を軸にアジアで攻勢図る

 東洋ゴム工業は5月8日、マレーシア新工場の開所式を行い、同日から本格稼働をスタートした。生産能力は、第1期建設が完了する2015年には年産500万本に達する予定。自前工場での東南アジア進出は、メジャーメーカーの中では最後発となるが、最新工法で製造する高機能・高性能タイヤを武器にグローバル市場へ供給体制を強化する。さらに2010年に買収したシルバーストーンのマレーシア工場と一体運営することで、東南アジア地区で一層高まる需要増に対応し、事業拡大を図る。

マレーシア工場の開所式
マレーシア工場の開所式

 午前11時から新工場のタイヤ倉庫を会場に竣工式が開催された。マレーシア政府や在マレーシア日本国大使館関係者をはじめ、地域代表者、工場建設関係者ら総勢約350名が出席し、盛大に行われた。

 冒頭、挨拶に立った東洋ゴム工業の中倉会長は、「マレーシアのトップタイヤブランドであるシルバーストーン社が、当社グループへ仲間入りしたのはわずか2年半前のこと。我々は世界で高まるタイヤ需要に応えるため、グローバルで生産供給の体制づくりを進める戦略を描いている。現在、それをひとつずつ実現しているが、シルバーストーンの傘下入りは、その最初の足がかりであった。

 ここからほど近い距離にあるシルバーストーンのタイピン工場を訪ね、そこで働く従業員と接した時、マレーシアの人が礼儀正しく、また一生懸命な姿が印象に残っている。今では当社の技術指導によって、さらにオペレーションが向上しており、当社グループの発展に着実に寄与して頂いている。

 シルバーストーンという有効なリソースを手中にできたことで、我々はタイヤの新たなグローバル生産供給体制の構築を同じくこの地に求め、新工場建設を2年前に表明した。この計画を遅らせることなく、晴れてここに竣工式典を挙行でき、非常に感慨深い。

 この新工場が、地域経済やマレーシア経済の発展に少しでも貢献できるよう祈っている。本日、東洋ゴム工業とマレーシアのタイヤ産業に新しい1ページが加わった」と話した。

世界へのスプリングボードに

TOYO TIRESの商品
現地で生産するTOYO TIRESの商品

 引き続き、トーヨータイヤマレーシアの笠井完二社長は、「新工場はフル稼働した時に、東洋ゴムグループの海外最大工場となり、グローバル展開の重要な拠点となる。

 この工場は当社の最先端生産システムによって運営される。この最新工法は高度な自動化、多品種・小ロット能力を持つ非常にスケーラブルなシステムで、高いレベルの生産性、品質、効率を低コストで提供する。マレーシアは東洋ゴムグループの世界へのスプリングボードになる」と述べた。

 その後、来賓を代表してマレーシア政府より国際貿易産業省のレベッカ次官が壇上に立ち、「マレーシアの2012年度のタイヤ関連製品の輸出額は前年から3.3%伸びたが、(新工場の完成で)さらなる上積みの余地がある」と紹介した。

 その上で「タイヤ業界の課題のひとつが、環境問題をどのように乗り越えるかだ。当政府は2020年までにCO2排出量を40%削減する目標を掲げており、自動車産業政策はEVや低燃費車を重視している。従ってこの新工場で低燃費タイヤなどを生産するために最新鋭の設備を導入したことは大変心強く思う。

 また廃タイヤのリサイクル管理という重要な問題もある。マレーシアでは2020年に年間約2000万本の廃タイヤが処分される見込みで、これは環境への脅威であると同時にビジネスチャンスでもある。行政と業界が手を組み、使用済みタイヤの回収・再生に関するアプローチを考え出していく必要がある。

 欧州の経済危機、米国の成長低迷などをみると、当政府が行っているAFTAやTPPなどの地域経済統合は事業にとって理がかなっている。マレーシアは地理的にアジア太平洋地域の活気を有利にさせ、その意味でも東洋ゴム工業がマレーシアに生産拠点を拡大したことは正しかった。今後も皆さんのマレーシアでの活動を支援していく」と挨拶した。


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