台湾企業 探訪③ 正新/MAXXIS

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カテゴリー: レポート, 現地

 台湾中部の彰化縣にある「MAXXIS」の本社を訪問した。敷地内に入るとR&Dセンターと向かい合わせに本社ビルがある。そこで廖正耀副総経理(副社長)にインタビューした。社内には、右肩上がりで推移してきた自信と活気を随所に感じる。インタビュー前に若い社員から日本語でレクチャーを受けた。徹頭徹尾、チャレンジングで明るい雰囲気が印象に残る。同社を身近に感じてきたところで、廖副社長の登場となった。

日本市場でブランド構築図る

MAXXIS本社事務所棟
MAXXIS本社事務所棟

 ――正新/MAXXISグループはいまや世界第9位のタイヤ企業となりましたが、グローバルに事業を展開される中で苦労されている点はどのようなところでしょうか。

 「生産拠点は台湾、中国、タイ、ベトナムに計19拠点あり、現在インドネシアに新工場を建設中です。海外では当然文化の違いがあるわけですが、それぞれの国や地域の文化と我々MAXXISの文化がうまく融合して、トラブルもなくスムーズに事業を行っています。
 事業所では、現地の人たちがMAXXISのやり方に合わせるだけでなく、我々の方からも現地の文化を把握し理解して融合できるように努力しています。やはり現地の人材育成は大切で、彼らが自主管理・監督ができるようにする必要がありますから」

 ――それぞれの拠点の役割、位置付けについて教えてください。

 「生産拠点はアジア地域に集中しており、各工場とも輸出拠点としての役割があります。もちろん工場が立地するローカルマーケットを確保することは大切で、その上で近隣国あるいは輸出先として最もメリットのあるところへ輸出しています。
 例えばタイではタイ市場とアセアン市場をメインとし、その次に中近東、欧州のマーケット向けに輸出しています。中国の工場は国内需要向けがメインで、輸出先としては中南米や欧州などへ輸出しています。アメリカ市場向けは台湾、中国、タイといろいろなところから供給しています。
 北米にはアメリカのアトランタとカナダに販売子会社を置いています。またブランチとしてロサンゼルス、テキサスのダラスにもオフィスと倉庫があります」

 ――日本市場への供給はどこから行っていますか。

 「主に台湾から供給しています」

 ――マキシスジャパンが来年、会社設立10周年を迎えるのですが、それに対するコメントをいただけますか。

 「ジャパンの10周年を機に日本での事業が拡大することを期待しています。本社の立場としても全力でサポートしていきたいと考えています。
 日本ではまだ四輪車マーケットでのMAXXISの知名度は高くありませんので、それはこれからの大きなテーマだと思います。MAXXISはこれまで日本の二輪車メーカーにOE納入の実績がありますし、四輪車メーカーともOEビジネスが拡大できるよう更に努力していきたいと思っています。
 新車メーカーとのお付き合いが増えていけば、それが一つの宣伝材料になるでしょうから、今後MAXXISの知名度アップに期待できると思います」

 ――MAXXISというブランド名はアメリカ市場を主眼に置いて造った言葉だと聞いていますが、言葉の意味を教えてください。

 「MAXXISというブランドは、弊社の陳榮華社長が営業本部長だった1989年か1990年頃に造ったブランドです。それまでアメリカでは正新(CHENG  SHIN)ブランドの商品を展開していたのですが、CHENG SHINの名前は欧米人にとって読みづらく、発音も難しい。またアジアブランドのイメージが強い。アメリカ市場で数あるメジャーブランドと競合していくには不利を感じたんですね。
 それで、欧米人に読みやすく覚えやすいブランドを造ろうということでMAXXISブランドを造ったわけです。
 MAXXISの一語一語には意味があって、最初の「M」は世界の有名なブランドに「M」で始まる名前が多い。2番目の「A」はアルファベットの最初の文字。世界でトップメーカーになりたいという夢を託した。3番目に「XX」は神秘性やパワフルという意味もあります。最後の「IS」は「M」と同様に世界の有名ブランドによく使われている言葉です。また最初の3文字の「MAX」は最大という意味があります。
 これらを繋げてMAXXISとし、その名前全体で、強く大きくしたいという意味を表現しています」

 ――MAXXISブランドには世界のトップを目指そうという意志が込められていると。

国内営業本部 廖正耀副総経理
国内営業本部 廖正耀副総経理

 「MAXXISブランドを造った当時に比べると売上高は40倍から45倍に拡大しました。しかしまだ実現できていない夢です。もちろん短期間で果たせるようなことではありませんが、そこを目指して努力していきたいと考えています。中期目標の中でブレークダウンして、具体的に成長軌道を描いてグループ一体で頑張っているところです」

 ――いま注目しているマーケットはどこですか。

 「新しいマーケットとしては中近東、東南アジア(ASEAN地域)、中南米、それとインドです。とくにインドは、弊社の現地工場はありませんが、マルチ・スズキ、タタ・モーターズなどにOE納入していますので今後も注力したいと思っています」

 ――そういう中で、日本市場はいかがでしょうか。

 「日本市場ではラベリングも取得し、低燃費タイヤ「i-ECO」を投入して販売に力を入れているところですが、やはり日本のマーケットは正新グループにとって特別なマーケットです。新車メーカーとのOEビジネスに加えアフターマーケットも含め、今後力を入れていきたいと考えています。目下のところ、積極的にメディア露出を増やしてブランドビルディングに取り組んでいるところです。


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