斗六工場(雲林縣斗六市)を訪ねて
彰化縣の本社から南に車で40分ほど走ったところに斗六工場(雲林縣斗六市)はある。工場は2011年8月に操業を開始したばかり。台湾で8番目の生産拠点である。台湾では久しぶりのタイヤ新工場とあって、最新設備を備えた工場内は明るく、随所に清潔感を感じる。総面積は29万6000㎡、現在の従業員数は588人。
さて、斗六工場では、記者が訪問した際には日本車のOE装着タイヤも生産しているところだった。
各工程の生産現場では、複数のセンサーによるチェックに次ぐチェック。万全の品質管理に徹している。むしろ、念の入れようはしつこいくらい。近代的な建屋と最新鋭の生産設備はもとより、充実した検査システムからも徹底した品質へのこだわりが伝わってくる。
敷地内は大きく4つの工場に分かれている。第1工場は原材料のゴムやカーボンなどを混練する「混合工程」。第2工場は乗用車用ラジアルタイヤの主力工場で、現時点での生産能力は日産1万本。計画では、今年年末までに日産1万8000本に引き上げる予定だ。
第3工場は今年8月に着工する予定で、生産品目は乗用車用ラジアルか二輪車用タイヤの2つの選択肢で検討中とのこと。第5工場についても、現在計画を煮詰めているところ(台湾では「4」という数字は縁起が悪いので、第4工場は設けていない)。従業員数は今年年末時点で888人に増員する。
斗六工場では、生産現場での不良品の発生や市場への流出を防ぐため、コンピューター・ネットワークを活用した生産管理および品質管理のシステムを構築している。これは、各製造プロセスの運営状況を一挙に把握できるコントロールセンターを設置し、そこに常時20人のスタッフが詰めて24時間体制で監視しているものだ。
万が一、どこかで異常が発生した際には、直ちに生産を停止してトラブルに迅速に対応する。
また先進の自動生産設備を導入し、製造工程での省人化対策を推進している。例えば材料工程では、従来4人体制で作業を行っているところを、ここ斗六工場では2人体制で行っている。
工場内ではタイヤ1本1本につけられたバーコードによる生産管理を基本とし、加えて充実した電子検査装置によりスピーディかつ的確に生産ラインの管理を行う。徹底した製造ラインの省人化を図り、コスト削減と高い生産性を実現した。
同工場副経理の羅吉林氏は、「CPSシステム(セル生産方式)の中で不良生産を無くし、またムダの削減に努め、事故を起さない。常に改善を進め、完全な管理システムを作っていきたい。№1の現場力で、これから世界で作られていく新工場のモデルとしての役目を果たしたい」と話していた。
関連:台湾企業 探訪① 日本市場に熱い視線 台湾企業 探訪② 南港輪胎/NANKANG 台湾企業 探訪④ 建大工業/KENDA