台湾企業 探訪④ 建大工業/KENDA

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カテゴリー: レポート, 現地

 彰化縣員林鎭にある「建大工業/KENDA」の本社を訪問した。重厚感の漂う建物に入り広い階段を上るとショールームがある。そこで面会したのは副董事長の楊 啓仁氏。柔らかい物腰だが、時折見せる鋭い眼差しからは、日本市場への強い期待と事業強化の意志がひしひしと伝わってくる。四輪車用タイヤでは後発だが、2001年の参入以来、増産を続け、事業拡大のテンポは速い。いまなお3年後、5年後を見据えた投資意欲は目を見張るものがある。

積極投資を継続、四輪での知名度アップ図る

楊啓仁 副董事長
楊啓仁 副董事長

 ――KENDAは四輪車用タイヤでは後発ですが、四輪に参入して以来、急速に業績を伸ばしておられます。まずは、現在の生産体制から教えてください。

 「当社は1962年に設立し、自転車タイヤ・チューブの生産からスタートしました。その後、モーターサイクルタイヤ、工業車タイヤなど生産品種を拡大してきましたが、四輪車用タイヤの生産を開始したのは2001年になってからです。ですから他社よりもだいぶ後発になります。
 当社は自転車タイヤで世界№1ですが、これから四輪の世界で積極的に知名度を上げていかなければいけないと思っています。
 現在、当社の生産拠点としては台湾に2工場、中国に5工場、ベトナムに1工場があります。この中で四輪車用を生産しているのは3工場で、このうち最初に四輪車用タイヤの生産を開始したのは上海の昆山工場です。台湾では雲林工場で2010年から生産を開始しました。また中国の天津第二工場は2012年に建設した新しい工場で、2013年5月から四輪車用タイヤを生産しています。
 それと、いま計画を進めているのは深?工場を移転して四輪車用タイヤを生産することです。移転先は広東省惠州で、既に土地を取得して、現在いろいろと詰めの交渉を進めているところです」

 ――惠州にはブリヂストンの工場がありますが、そこから近いのですか。

 「50kmくらい離れたところです」

 ――いつごろ移転する予定ですか。

 「3年から遅くとも5年以内には移転を完了して生産を開始する予定です」

 ――四輪車用タイヤの生産拠点がどんどん増えていくわけですね。

 「さらに、もう一つ計画があります。昆山工場で、現在生産している乗用車用タイヤに加えてトラック・バス用タイヤ(TBR)の生産を開始する計画です。それは3年後の2017年から生産開始の予定です」

 ――積極的に増産投資を続けているようですが、生産増強とともに販売拡張へ大きな期待がかかると思います。

 「もともとKENDAは自転車・バイク・工業車用のタイヤを生産してきた会社ですので、我々にとって四輪車用タイヤは将来に向かってのチャレンジです。これまで全社員の努力によってマーケットシェアは上がってきており、知名度も徐々に上がってきたと考えています。
 いま全世界で販売していますが、とくに米国、日本、中国、中東は大切なマーケットです。日本では自転車タイヤとゴルフカート用のタイヤがよく売れています。中でもゴルフカートのタイヤは世界中で高いマーケットシェアを持っています。例えば米国では約85%、日本でも約50%のシェアがあります。
 ゴルフといえば女子プロで台湾出身のテレサ・ルー選手を2008年からスポンサードしています。テレサ・ルー選手はJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)の2013年ミズノクラシックで優勝し、その年の年間獲得賞金ランキング第3位に輝きました」

 ――確かにKENDAの帽子を被っていますね。

 「お気づきでしょうか、試合のときはいつも被ってもらっています」

 ――日本市場で認知度を上げることを考えますと、やはり乗用車用タイヤに注力することになりますか。

 「基本的には一般の乗車車用タイヤをはじめUHP、ライトトラック用も含め広いカテゴリーで販売したいと思っていますが、中でも一番売れているのはUHPです。サイズバリエーションは14インチから20インチまであります。また、昨年からは軽自動車用のタイヤも販売好調です」

 ――軽自動車用は日本固有のタイヤサイズが多いと思うのですが、KENDAではそれに適応していると。

 「確かに軽自動車のタイヤサイズは特別なサイズが多く、日本以外の国ではほとんどありません。しかしながら、日本の軽自動車の市場は大変大きいですから、そこを重視して日本の軽自動車サイズの開発に力を入れています」

 ――日本へのタイヤ供給はどちらの工場からでしょうか。
 「現在のメインは中国の工場ですが、今年から少しずつ台湾の工場からも供給しています。発注された商品のパターンの種類によって、フレキシブルに対応しています」

 ――日本固有の市場としては、もう一つスタッドレスタイヤがありますが、そちらはいかがでしょうか。

 「実は、今まで日本市場向けスタッドレスタイヤの開発を進めてきました。昨年2月には北海道でテストを行って、そこで得たデータを開発にフィードバックし、商品化するところまできています」

 ――日本向けスタッドレスタイヤの開発は初めてですか。

 「初めてです。以前から中国や欧州の市場向けにスノータイヤを作って販売してきましたが、今回初めて、日本専用のスタッドレスタイヤの開発を行いました。今年の9月に発売する予定で準備を進めているところです」


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