台湾企業 探訪④ 建大工業/KENDA

シェア:
カテゴリー: レポート, 現地

 ――OEビジネスの方はどういう現状ですか。

 「KENDAは日本の自動車メーカーといい関係にあります。例えばホンダ、三菱、マツダなどにスペアタイヤをOE納入しています。今後は純正タイヤを供給できるようになりたいと思っています。純正タイヤでは現在、中国で上海GMにOE供給していますが、日系メーカーへも供給したいと考えています。中国ホンダや中国トヨタへ納入することが当面の目標です」

 ――R&D体制はどうなっていますか。

 「R&D拠点としては台湾のテクニカルセンターに加え、今年3月に米国アクロンにテクニカルセンターを新設しました。これは純正タイヤを提供するために設立したもので、現在6人のエンジニアが常駐して開発能力の向上に努めているところです。今後さらに増員する予定です。自動車メーカーとのお付き合いを通じてレベルアップを図っていきたいと考えています」

 ――ここで中長期の目標をお聞きしたいと思います。

 「PCRは最も重要な商品と位置づけており、その生産能力は年間1200万本になっています。今後さらに拡大し、2018年までの5年間で2400万本にすることを目標にしています。その時点でTBRは100万本です。売り上げ目標は20億USドル、PCR+TBRの売り上げ構成比は現在の30%から50%になる見通しです」

 ――日本市場での販売本数は、どれくらいを目標にしているのですか。

 「この2~3年、日本の販売量は増えて2013年は40万本くらいでした。今後は年率10%以上伸ばすことが当面の目標ですが、最大の目標は5年以内に年間100万本を達成することです。もちろん、その時点で知名度はだいぶ上がっているでしょう。日本と台湾は大変いい関係ですから、日本の皆さんにはKENDAが台湾ブランドであることを前面に出していきたいと思います。

 KENDAの強みは、第一に品質が安定していることです。その一例、トヨタ自動車のTPM賞を受賞しています。二つ目は良質なサービスです。納期、生産コストが安定しています。三つ目は開発です。アメリカにテクニカルセンターを設立しましたので、研究開発技術のレベルが向上します。四つ目は全世界で広告展開していることです。

 日本市場に対しては、安定した品質とサービスで価格競争力のある商品を提供していきます。将来、KENDAジャパンができるかも知れません。是非、日本での認知度、イメージ、販売も含め台湾ブランドの中でNo.1になりたいと思っています」

10年余りで1200万本の供給体制を構築

KENDA正門
KENDA正門

 「KENDA」ブランドを展開する建大工業は1962年3月の設立。自転車タイヤ・チューブの生産からスタートし、1970年代にMCタイヤ・チューブの本格生産を開始するとともに海外進出に乗り出した。二輪の世界でグローバルに展開し、今日では自転車タイヤ世界No.1の座を誇る。

 その同社が四輪車用タイヤに参入したのは2001年。中国の昆山工場(敷地面積50万平方メートル、従業員数3800名)で乗用車用タイヤを生産開始したのが始まりで、その後、2010年に台湾の雲林工場(敷地面積7万9000平方メートル、従業員数570人)でも乗用車用タイヤの生産を開始、2012年には天津第二工場(敷地面積46万平方メートル、従業員数200名)を建設して、現在の3拠点体制を構築した。

 乗用車用タイヤを中心に世界で販売展開し、年々、販売実績を伸ばし続けている。四輪車用タイヤの拡大とともに業績も右肩上がり。2013年の売上高は10億8000万USドル(約1100億円)と10億USドルを突破した。これは10年前の2004年実績に比べると3倍強の伸びとなる。

 現在も積極的に増産投資を行っており、昆山工場ではPCRに加え2017年からTBRを生産する計画を推進中。また深?工場を移転して、乗用車用タイヤの生産拠点とする計画も進みつつある。四輪参入からわずか12年で年間1200万本体制を実現した同社は、今後さらに投資を続け、2018年までの5年間で倍の2400万本体制に拡大する構想だ。

 日本では「KENDA」ブランドの名は自転車タイヤで広く知られるが、四輪車用タイヤでの認知度向上を目指す。生産能力増強を続ける中で、日本市場への期待は大きい。UHPなど高付加価値品が売れる先進市場であり、軽自動車という特有な市場も存在する。また冬季にはスタッドレスタイヤがある。

 リプレイス市場での販売施策を進めると同時に、OEビジネスにも注力する。現在、日本の複数のカーメーカーにスペアタイヤの供給を行っている実績があり、今後それを発展させて新車装着用タイヤを供給できるようにしたい考えだ。今年3月には米国にテクニカルセンターを設立し、開発力の向上に努めている。

 こうしたOEビジネス強化とリプレイス市場での拡販を両輪に、四輪車用タイヤ事業を拡大し、2018年に売上高20億USドルを目指すものである。

 日本市場での販売実績は2013年で約40万本。将来の目標は100万本。そのときにはKENDA  JAPANの設立を視野に入れる。あるいはその過程で、日本駐在オフィスを設ける可能性もある。

 米国ではすでにホイールの6子会社を運営し、また欧州ではドイツにオフィスを設立しており、日本オフィス設立の構想は現実味がある。まだ未知数ではあるが、勢いに乗って、日本ビジネス拡大のためにさまざまな施策を打ってくるものと思われる。

 今年冬シーズンにはKENDAブランドのスタッドレスタイヤが日本市場に初登場する予定だ。商品はすでに昨年2月に試作品をテスト済みで、それがどういう商品に仕上がったのか興味深い。また代理店を通じた販売施策が注目される。

 楊副董事長は「日本のスタッドレス市場は日本ブランドが圧倒的シェアを占める非常に厳しい市場。その中で少しでもKENDAの認知度が上がり、販売が上がるよう努力していきたい」と前向きな姿勢を示していた。


[PR]

[PR]

【関連記事】