全国6エリアで研修センターの併設完了
東洋精器工業株式会社(兵庫県宝塚市、阿瀬正浩社長)の名古屋営業所(愛知県長久手市桜作1420)の新社屋がこのほど完成し、10月23日に現地で内覧会が行われた。同営業所では東海4県のタイヤ整備事業者などに向けて各種研修を提供することで、人材育成と安全な作業環境づくりに貢献していく。
東洋精器工業ではこの数年、全国の主要都市にある営業所をリニューアルするのに合わせて研修センターの併設を進めてきた。名古屋研修センターは本社、仙台、横浜、高松、福岡に続く全国で6カ所目の研修拠点となり、整備機器業界で最多となる研修施設のネットワークが完成した。
名古屋営業所は、愛知県北西部にある長久手市(ながくてし)に所在する。長久手市は名古屋市東部に隣接しており、営業所から東名・名古屋インターチェンジまで車で5分、電車では名古屋駅から30分と利便性に優れる。今から約30年前に名古屋市内から移転する形で同地で営業を始めた後、一時的に移転した今年4月から約半年をかけて新社屋の建設を進めてきた。
座学から実践的なトレーニングまで対応
営業所の敷地面積は678平方メートル、床面積は345平方メートル。2階建てで、1階はタイヤチェンジャーやホイールバランサー、3D式のアライメントテスターといった最新の整備機器のほか、トルクチェッカー、新ISOのホイールセットなど多数の研修ツールを導入した。また座学を行う2階の会議室には約20名が収納可能。
名古屋営業所の谷川政志所長(第一営業本部次長)は、「土日・祝祭日も含めて研修会を月に4回から8回程度実施していきたい。ここに来て頂ければタイヤ整備に関することはほぼ全て学んで頂ける」と話す。
講習内容は大きく分けて①空気圧充てん講習、②トルク管理、③新ISO規格の作業、④アライメントの4項目。例えばタイヤ交換の教育なら基礎的な講義から扁平タイヤ、ランフラットタイヤの交換まで用意しており、作業が初めてとなる新人スタッフからベテラン向けの専門的な内容まで、それぞれのレベルに応じて幅広く対応する。
名古屋営業所がカバーするエリアは愛知、岐阜、三重、静岡の東海4県。谷川所長は「日々の営業活動の中で、お客さまから研修の場が欲しいというニーズが多くあった」と話す。
その一方で業界全体として離職率が高止まりし、作業標準が継承されにくいという課題も見えたという。現場では機材の使用方法からタイヤの取り外し方、運び方まで十人十色というケースも少なくない。
「後輩からすると、先輩の作業でどれが正しいのか迷ってしまうこともあるのではないだろうか。そしてその迷いが怪我や事故の原因になるかもしれない。研修を通じて学んで頂いたことを今度は下の人間にきちんと伝えて頂くことで、お客さまの課題解決に繋がっていける。負担軽減、効率化、安全――この3つを学んで頂くことで業界に貢献できれば」と、研修会の意義を話す。その上で「我々としてもお客さまから頂く情報を営業活動に活かしていきたい」と今後の抱負を述べた。
さらに今後はタイヤメーカーが独自に行う技能コンテストやタイヤ商工協同組合などが実施しているタイヤ空気充てん特別教育への会場の提供、あるいは販社と連携した研修会などにも活用を促すことで、顧客との関係を強化していく。
なお講習は、同社の社内制度である「マイスター」の有資格者が講師を務める。「それによって社員自身がより一層勉強しなければならない。それが我々の成長にも繋がっていく」と、更なるレベルアップに意欲的に取り組んでいく。