堅調な需要続く北米で地産地消を確立
横浜ゴムが約360億円を投じて建設していた北米のトラック・バス用タイヤ工場(ミシシッピ州ウエストポイント市)が完成した。現地時間の10月5日に行われた開所式にはミシシッピ州のフィル・ブライアント知事やトレント・ケリー米国下院議員をはじめとした地元政財界の幹部のほか、日系カーメーカーや取引先など約300名が出席した。
ミシシッピ工場は同社にとって単独では北米初の生産拠点。スピーディな供給体制を整えることで世界有数の需要地である北米市場での販売量を拡大させる。さらに将来的には研究開発拠点の設立も視野に入れるなど、一層の地産地消を進めていく方針だ。
生産能力は第1期が完了する2018年をメドに年産100万本に達する予定で、将来的には4倍まで規模を拡大する。単独で北米に生産拠点を構えるのは大手メーカーの中では後発となるが、最新の設備で製造する高品質な製品と幅広い販売網を武器に世界有数の商用車市場で攻勢をかける。さらに研究開発センターの設立も視野に入れ、乗用車用タイヤも含めて企画から生産、販売まで真の意味での地産地消を目指す。
開所式で挨拶に立った横浜ゴムの野地彦旬社長は、「タイヤ産業は堅実な成長を続けており、当社はよりスピーディーにビジネスを展開せねばならない。この地に最新の製造拠点を設立できたことは非常に大きな意味を持つ」と話した。 続いて現地タイヤ生産子会社ヨコハマタイヤ・マニュファクチャリング・ミシシッピの山本忠治社長が、2012年に始まった工場の候補地選定から開所にいたるまでの経緯をスライドを用いながらスピーチし、会場から大きな拍手が送られた。
同社の北米での生産拠点は、乗用車用タイヤはモホーク・ラバー社の買収により手に入れたセーラム工場(ヴァージニア州)、トラック・バス用タイヤは独・コンチネンタルとの合弁会社GTYの工場(イリノイ州)があるが、単独での工場設立は今回が初めて。
ミシシッピ工場は州都ジャクソンから約240kmほど離れたウエストポイント市に立地する。同社にとって三重工場、GTY、タイ、中国・蘇州工場に続き5カ所目のトラック・バス用タイヤの生産拠点となる。敷地面積は230万m2と広大で横浜ゴムのタイヤ工場として最大級の規模を誇る。
計画では2018年頃に第1フェーズを完了する見通し。その後、需要動向に合わせて順次拡張を進め、最大で年産400万本レベルまで能力を引き上げる。なお現在の工場建屋は敷地全体のわずか4%に過ぎず、将来的にはトラック・バス用タイヤ以外の工場を敷地内に建設する可能性もあるという。
工場内はジャストインタイム方式で多品種小ロット生産に対応する設備を導入。また無人運搬機(AGV)など自動化装置により生産効率を高めた。