――人材教育については
「最も重要なのはソフト面、つまり従業員の礼儀作法ですね。この教育という部分が運営上の課題です。顧客がいかに快適に過ごして頂くか、スタッフがそのモチベーションをどう高めていくかが重要です。
これに対するベストな答えはまだ出ていませんが、何度も粘り強く指導していく以外に方法はないと思っています。それからSVによるOJTの実施ですね。我々のSVを店舗に期間限定で店長として送り込み、指導を受けてもらうケースもあります。
礼儀作法については、我々の品質に達しなければオープンさせないほど徹底した指導を行っています。我々が実現したいことが分かってもらえてこそ、初めて成功するビジネスですので」
「店舗が増えていけば、その分SVの数も必要ですし、それを統括する人間も必要になります。 将来は1名のSVが7、8店舗を管理する形になっていくと思います。先ほどのシステムが完成すれば、各店舗の状況はリアルタイムで把握できるようになります。そのデータを元に、SV全員で分析を行い、全員で経験値を上げていけると考えています」
――今後の出店計画は
「2016年以降は出店を本格化させていきます。現時点では代理店の直営店に限定していますが、来年以降は代理店が推奨する小売店も加えていく計画で、2017年末には200店体制とする予定です。将来は小売店のほうから『D-ガードをやりたい』と言って頂けるようになることが目標ですね」
洗車からメンテナンス、さらにその先へ
D-ガードの2号店として今年1月にオープンした上海市の虹梅路店は上海の中心部から約20km、住友橡膠(中国)有限公司の補修用タイヤ営業部が入居するビルと同じ敷地内にある。周辺は商業施設が林立する地域のため、来店者は企業経営者も多く、ほとんどは輸入車や高級車を所有する中流層以上。
店内は明るく清潔感に溢れており、待合室からはピットの作業風景がひと目で分かるようなレイアウトになっている。現地では工賃を明記していない販売店が多い中、受付の目立つ場所に価格表が掲げられており、初めてでも安心してサービスを受けられる。
なお同店舗は全国の訓練センターとしての目的もあるため、住友橡膠(中国)有限公司が内装と看板を設置したほか、一部の作業機材を貸し出している。またD-ガードの成功を左右する人材教育については、同社のSVが1カ月付きっきりで店長と従業員の指導を行った。
現在の来店数は月に600台。洗車で訪れたユーザーの内、メンテナンスまで誘導できるケースは1割ほどだという。住友橡膠(中国)有限公司の孫世浩マネージャーは、「洗車の来店客数自体を増やしていくことはもちろん、その半数以上をメンテナンスまで持ち込めるようにしていきたい」と意欲を示す。タイヤ販売以外にオイルやバッテリーの交換などトータルメンテナンスの提供と、丁寧な接客サービスを通じて、より多くの顧客を獲得していく考えだ。