タイヤチップに付加価値を 廃タイヤリサイクルの現場

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カテゴリー: レポート, 現地

タイヤチップに付加価値を 廃タイヤリサイクルの現場

破砕したチップを運搬する
破砕したチップを運搬する

 埼玉県熊谷市に本社がある株式会社国分商会では、1976年の創業以来、廃タイヤのリサイクルを行っている。同社の処理能力は1日最大531トン。平均128トンの廃タイヤを入荷しており、繁忙期には、閑散期の約2倍以上が搬入される。

 入荷したタイヤは、まず状態を見て選別を行い、原型利用と素材利用に分別する。状態が良いタイヤは、中古タイヤや台タイヤとしてリユースするほか、一部は海外に輸出している。これは全体の約10%。残りの90%は、粉砕してタイヤ由来燃料(TDF)になるほか、一部は再生ゴムなどの原材料となる。

 TDFは、ワイヤーなどを抜き取り、粉砕したタイヤチップのこと。バイオマスを20~30%前後含むため、石炭と比較するとNOx量が少ないとされる。加えて同量の石炭の約1.3倍のエネルギー量を持つため、再生エコ燃料として、大手製紙工場を中心に納入されている。

破砕したタイヤチップ
破砕したタイヤチップ

 また、同社では米・バークレー社の破砕機を導入し、二段階の循環式破砕を行うことで、均質なタイヤチップを生産することが可能。工場内は合計9台の切断機があるが、国内で2番目に大きいOR用切断機を備えているのが同社の強み。これにより、建設機械用タイヤや大型のチューブレスタイヤも粉砕の前加工として切断が可能だ。

 収集部の二宗隆部長は、「需要が減ってきている部分を、他の部分でどのように補うかが今後の課題」と話す。

 昨年までは海外で廃タイヤの需要増により価格競争の激化があったため、供給のタイト感があった。一方、現在は石炭価格の下落に伴い、徐々に供給余剰になりつつあるという。

 廃タイヤの適正な処理と再利用は、環境保全という意味からも持続可能な事業である必要がある。そのため、TDFの納入先や顧客の拡大などの経営努力に加え、同社はタイヤチップに付加価値をつけるためのさまざまな取り組みを行っている。

 その一例として、ゴムチップ舗装を開発。使用感と経年劣化による耐久性のテストを行っており、製品化に向けて研究を進めている。同社は今後も安定した処理の継続を目指していく。


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