横浜ゴムの国内に5カ所あるタイヤ生産拠点のひとつ、静岡県三島市にある三島工場。同工場が果たす役割や、環境へ配慮した工場づくり、生産性向上への取り組みについて現地取材した。
三島工場の操業開始は1946年。敷地面積は11万2000平方メートルで従業員数は917名。現在の生産品目は乗用車用、レーシング用、ライトトラック用タイヤだが、実は同社のハイパフォーマンスタイヤ発祥の地でもあり、「ADVAN」のレーシング用タイヤを生産しているのはここ三島工場だけだ。
生産ゴム量は月産3900トン。日産本数に換算すると約4万本のタイヤを生産している。製造しているタイヤサイズは軽自動車や小型乗用車向けの10~15インチがメインで、出荷先は国内市販用が約57%、新車用が約30%、輸出用が約13%となっている。
三島工場では「災害のない工場づくり」「環境への配慮」を軸に工場運営を行い、安全で快適な職場環境づくりを進めている。
とくに環境面では、1998年に環境管理の国際規格「ISO14001」の認証を取得したほか、2005年には都市ガスを利用したコージェネレーションシステムを導入。さらに省エネルギー設備を取り入れるなど低炭素化への取り組みを進めている。
一方で品質管理にも注力する。これまでも各種品質マネジメントシステムを採りいれてきたが、さらなる品質向上を図るため昨年からQRコードの活用を始めた。
「タイヤに貼っているQRコードを読み取ることで、各生産工程の製造時間や担当者などが一目でわかる」(同工場業務課課長補佐渡邉幸司氏)というもの。
こうした高度な品質管理システムを構築するとともに、生産効率の向上に向けた取り組みも強化している。
例えば、成形工程では以前は一人の従業員が1台の設備をコントロールしていたが、現在では2台の機械を操作する体制に変更した。この結果、生産ラインを省人化し、コストの低減と生産性の向上を実現した。同工場のこうした取り組み姿勢が、作業性や生産性の向上だけでなく、安定した品質を支える大きな要因となっているようだ。
昨年の新車販売実績を見ると、軽自動車の割合は4割近くを占めるなど、近年は軽自動車やコンパクトカーが市場で主流となりつつある。こうした環境下、三島工場から安定的に供給される各種製品が市民の生活を支えている。三島工場の重要性は今後、ますます強まっていくに違いない。