横浜ゴムは、SUV用タイヤブランドのGEOLANDAR(ジオランダー)からハイウェイテレーンタイヤ「GEOLANDAR X-CV」(ジオランダー・エックスシーブイ)を4月1日に発売する。昨年11月に神奈川県の有料道路、アネスト岩田ターンパイクで開催した試乗会で新商品の性能を体感した。
「GEOLANDAR X-CV」は、高速性能と運動性能を重視したハイパフォーマンス・クロスオーバーSUV向けに開発されたハイウェイテレーンタイヤだ。
同社では、SUV・ピックアップをボディタイプに応じて4つのカテゴリーに分類しており、新商品のターゲットはモノコック構造の大型の欧州車などとなる。
近年、輸入車の販売台数は30万台を超える高水準で推移しており、このうち、SUVは一定の高い割合を確保していると推測される。
こうした市場環境の中、消費財製品企画部タスクリーダーの小島弘行氏は「日本のドライバーはハンドリングといった運動性能を重視するか、乗り心地など快適性能を求めるか、この2つのタイプに分かれる」と分析する。
同社は、運動性能のニーズに応える商品として「ADVAN Sport V105」を提案する一方、快適性能を重視するユーザーに向けて投入するのが「GEOLANDAR X-CV」だ。
ユーザーの「安全性を犠牲にしたくはない」「M+S(マッド&スノー)タイヤには関心があるが、静粛性が気になる」といった声にも対応し、従来品比(パラダ・スペック―X)でウェット、スノー、静粛性能を高めた。
街乗りで使用する機会の多い、もしくは長距離で運転するユーザーなどをターゲットに、これまで選択肢が少なかった18~22インチのハイインチゾーン、全17サイズを展開する。
最新技術でウェットや静粛性を向上
新商品ではトレッドのコンパウンドにスノー専用のポリマーを配合し、マイクロシリカを増量。ウェット性能とスノー性能の両立を実現した。
また、高い排水性やブロック剛性、エッジ効果などを図り、非対称のトレッドパターンには4本の主溝、2Dと3Dのサイプを採用した。さらに、最適化したトレッドデザインや、トレッドに配置した2層のナイロンフルカバーが静粛性向上に貢献する。そのほか、サイド部にカーカスを2枚配置して剛性を高め、ドライハンドリング性能を確保している。
これらの技術により、従来品比でウェット制動を8%短縮、ウェット操縦安定性を3%向上したほか、M+S規格を獲得した商品ながらロードノイズを23%、パターンノイズを2%それぞれ低減し、転がり抵抗性能3%低減を達成した。
快適性と安全性を両立したコンフォート性能
「GEOLANDAR X-CV」をジープ「グランドチェロキー」とボルボ「XC60」に装着し、箱根ターンパイクを走行した。
新商品はM+S規格を取得しているため、「街乗りで年中乗ることができ、急な降雪にも対応できる」(担当者)という点は、同じパフォーマンス・クロスオーバーSUV向けの「ADVAN Sport V105」と大きく異なる点だ。オールシーズン対応となるためスタッドレスタイヤのような細かい溝が採用されており多少のノイズは聞こえるが、運転席と後部座席で問題なく会話できる程度となっていた。
また、ウェットやスノー性能を向上させつつドライ制動は従来品と同等の性能を維持しており、ワインディングロードでもしっかりと走行できる。さらに、スピードレンジは全サイズW(最高時速270<CODE NUMTYPE=SG NUM=5A03>)に設定している。大型SUVで快適に街乗りを楽しみたいユーザーにとって、新たな選択肢となることは間違いないだろう。
圧雪路面でも性能を発揮
スノー性能に効くポリマーを配合したコンパウンドと独自のサイプ技術を採用することで、M+S規格のタイヤとして多少の雪道はカバーできるという「GEOLANDAR X-CV」。1月下旬、北海道旭川市にある横浜ゴムのタイヤテストコースでその性能を確かめる機会があった。
試乗会ではジープ「グランドチェロキー」に新商品を装着。テストコース内にある圧雪路でスラローム走行を行ったが、その性能は期待以上の仕上がりだった。
後部座席にいると、身体が大きく左右に揺さぶられるほど激しく旋回してもタイヤ自体はしっかりと路面をグリップしてくれる印象だ。時速約40<CODE NUMTYPE=SG NUM=5A03>からブレーキをかけた際の制動感や挙動にも問題はない。きちんと整備が行き届いた平坦な圧雪路という環境ではあったが、日常の運転シーンでも浅い雪道くらいなら一定の性能は発揮してくれそうだ。
ただ、同社が「最低限のスノー性能」と説明するように、本格的な降雪時やアイス路面では、スタッドレスタイヤの使用が適していることには注意したい。