板野商会宮城支店 塩釜市に新店舗、スタッフ全員が異業種から

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カテゴリー: ディーラー, レポート

 港湾都市の宮城県塩釜市。仙台市から青森市までをつなぐ国道45号線の中継地点であり、北上すると観光地の松島へと至る交通量の多い地域だ。この地に昨年秋、新たなタイヤ専門店がオープンした。東京都荒川区に本社を構える板野商会(板野光博社長)の宮城支店だ。宮城支店では異業種からタイヤ業界に転身してきた4名の従業員が、各々の経歴を活かしながら地域密着の取り組みを進めている。将来に向けたビジョンを聞いた。

アンテナを広げ市場を開拓

板野商会宮城支店
板野商会宮城支店

 板野商会はこれまで、埼玉と神奈川の支店や千葉の物流センターなど、関東を中心に拠点数を拡大してきた。そんな同社が昨年10月、東北に進出して新たにオープンした店舗が宮城支店(宮城県塩釜市杉の入)だ。

 塩釜の漁港近くに立地しており、目の前を通る国道45号線は仙台市内から松島経由で東北北部へと向かう。また、東日本大震災からの復興に携わる大型車両の走行ルートともなっているそうだ。

 板野商会の事業の一つに中古タイヤのビジネスがあるが、集まったタイヤは港に近い宮城支店で海外への輸出用コンテナにまとめられる。

 そうした土地柄もあり、支店にはロシアや中東、アジアなどからの外国人の来店もあるという。その対応にあたるのはスタッフの渡邊みゆきさんだ。「お互い英語ネイティブではないため身振り手振りを交えながら接客している。その時の状況によるが、条件に合ったタイヤがあればお売りできる」と話す。

 従業員が全員異業種の経験者という点も支店の特徴だ。明るい人柄の渡邊さんをはじめ、「支店の一人ひとりが特化した部分を持っていて、野球のチームのようにポジションが被っていない」と、支店長を務める三浦馨さんはスタッフを紹介する。

板野商会宮城支店のスタッフ
(右から)渡邊さん、三浦さん、スタッフの方々

 三浦さん自身は自衛隊で働いた後、食品関係の卸売りに携わり現職へ、渡邊さんもこれまでに医薬品販売などの仕事を経てきた。それぞれ板野商会の宮城出店を機に同社へ入社。本社で実技や学科の教育プログラムを受講した後、支店に配属された。

 中古タイヤの検品時は、リトレッドの可否など慎重さが要求される作業にスタッフで協力してあたるなど、メンバーの連携プレーで新店舗は運営されている。

 宮城支店では、中古タイヤの輸出関連の業務以外にも、今後は地域の顧客に対して生産財・消費財タイヤの交換作業のほか、新品・中古タイヤの販売などを展開していく考えだ。

 これまで塩釜をはじめ、宮城県内の事業所を回り、タイヤの回収や組み換え、ローテーションなどの営業活動を実施。三浦さんは「会社から預かっている仕事だけではなく、自分たちで動いて徐々に新たな業務を展開していかなければならない」と展望を示す。

 現在サービスカーも1台稼働しており、岩手県や新潟県などへ出張することもあるそうだ。需要が確認できれば、さらに新たなサービスカーを導入することも検討している。

 店舗の周辺には住宅街も広がっており、国道45号線沿いには一般ドライバーを相手にする大手のカー用品チェーンや自動車整備会社も立ち並ぶ。こうした環境の中、同店が目標とするのは “いかに地域に喜ばれるか、どれだけ安心を提供できるか”という点だ。

 三浦さんは「既存店と争うために出店したわけではないが、もちろん競争相手がいる」と話す。その上で「そこに何で勝つのかといったら“真心”になる。小さい仕事、大きい仕事に関わらず誠実な仕事をしていくことで、自ずと評判が得られ、人の出入りが生まれていく」と力を込める。

 強みの一つは活気あふれる支店の雰囲気だ。三浦さんはこれまでの経験から、サービス業や営業職では笑顔で対応することの大切さを感じていた。ただ、普段から笑顔でないと実際の場面で気持ちの良い対応は難しいが、支店で笑い声が聞こえない日は一度もないという。

板野商会宮城支店
板野商会宮城支店

 さらに、渡邊さんは職場の清潔感を保つことでスタッフが働きやすく、顧客がくつろげる店舗となるように心掛けているそうだ。

 「会社が何かしてくれることを待つのではなく、自分が会社に何ができるのかを意識している。女性の私でもレガシーになるものがあれば残していきたい」と意気込みを語る。

 周辺住民が気軽にお茶を飲みに立ち寄ることができるような環境作りや笑顔のある明るく丁寧な接客に力を注ぎ、“太くて抜けない根っこを張り巡らせる”ことが目標だ。それを実現するためにはそれぞれのスタッフがこれまで培ってきた経験が大きな武器になる。

 支店を支えるのはスタッフ間の絶妙なチームワークだけではない。取材当日には板野商会の板野社長が支店を訪れていた。三浦さんはその点に触れ、「自分で運転して東京からやって来る社長の姿を見ていると、『自分たちも負けてはいられないな』という気持ちが出てくる」と話す。

 外部からの刺激もモチベーションにして、「板野商会の支店の中でナンバーワンの売上を達成し、胸を張れる環境を作りたい」と、三浦さんは将来ビジョンを描く。

 支店では“常に考えて行動しよう”という言葉をスローガンに掲げた。例えば、“顧客のニーズに応える”といっても、声を掛けられてから応じるのではなく、相手が望むものを察して事前に動くといった形だ。

 「いかにアンテナを広げるか  という気付きの精神が大事になる。常に考えて行動し、努力していくことができる支店でありたい」――こうした三浦さんの構想や、スタッフそれぞれの想いを活力にスタートを切った宮城支店。様々な顧客に支持されるべく、求められるオールマイティなサービスを提供していく――新天地での挑戦は始まったばかりだ。


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