住友ゴム工業は4月7日、愛知県豊田市にある名古屋工場の見学会を行った。操業開始から50年を超えた同工場は乗用車用タイヤの主力生産拠点で、他工場と比べて新車メーカーへの供給比率が高いのが特徴となっている。以前から進めてきた品質向上への取り組みと、事業のグローバル化が進む中で同工場が果たす役割について紹介する。
名古屋市の中心部から車で約1時間の場所にある豊田市は、トヨタ自動車が本社を置く企業城下町で国内有数の工業都市。人口は約42万人と愛知県内で名古屋市に次いで2番目に多く、面積は県内で最も広い。
ここに所在する名古屋工場の操業開始は1961年。敷地面積は東京ドーム約4個分にあたる19万平方メートルと広大で、乗用車用タイヤを中心に1日約4万2000本のタイヤを生産している。2015年1月1日時点の従業員数は1413名、4班3交代で年間347日稼働している。
同社執行役員で名古屋工場長を務める吉岡哲彦氏が「新車用タイヤの供給比率が国内工場の中で最も高い」と話すように、同工場で生産されるタイヤの3割から4割はOE向け。新車用タイヤにはより厳しい性能基準が求められるため、品質面では常に高いレベルを維持することが必要となる。
それに対応すべく工場では以前から従業員が一丸となり品質管理に努めてきた。その結果、品質マネジメントシステムの国際規格「ISO9001」や自動車産業向けの品質マネジメントシステムの国際標準規格「TS16949」などの認定を10数年以上前に受けている。
工場内に一歩入ると手狭ではあるものの、従業員による整理・整頓が徹底されているためか、操業開始から50年以上という古さはさほど感じさせない。一方、生産設備は機械化がかなり進行しているが、「急激に全自動ラインをつくることは考えていない」とし、人間の手や目が必要な部分をあえて残すことで最適なバランスを取っている。
同社は現在、日本以外に世界5カ国で6つのタイヤ工場を運営しており、今年の夏には同社初の欧州生産拠点としてトルコ工場の稼働も控えている。こうした中、名古屋工場が果たしていく役割について吉岡工場長は次のように話す。「我々は国内工場で技術を作りこんで、その技術を海外に展開していくというスタンスで進めている。とくに名古屋工場の場合は、品質面でリードしていくのが使命」
今後、グローバル化が一層加速し、事業環境が急速に変化していく中、高レベルの品質管理に取り組む名古屋工場の重要性はさらに増してくる。