1月10日から12日の3日間、千葉県の幕張メッセでカスタムカーと関連製品の展示会「TOKYO AUTO SALON 2020」が開催された。38回目を迎えた今回、3日間の来場者数は33万6060人と前回から1.6%増加し、過去最多の動員を記録。カスタムカーや新型車、レース仕様車が数多く並ぶ会場では、タイヤメーカー各社もそれぞれのブランド色をアピールし、新商品やドレスアップ対応商品が来場者の注目を集めていた。
ブリヂストンは、黒白赤のカラーで“カッコ良さ”や“疾走感”といった「POTENZA」の世界観を表現した。担当者は、「ブースの中に入っていくほどポテンザを知ることができる。POTENZAには色々な用途があるが、自分にあった商品を見つけて頂きたい」と話していた。
ブースでは2019シーズン「SUPER GT」シリーズのチームチャンピオン車両を展示したほか、プロジェクションマッピングやiPad画面でPOTENZAの歴史、商品の性能などを紹介した。
また、2月から発売する「POTENZA RE-71RS」を出品。1月10日の新商品発表会に登壇したレーシングドライバーの山野哲也選手は「まずはブレーキング性能に関して開発し、その後トラクション、コーナリングフォースを高めた。3つのレベルアップによってキレの良いハンドリングが生まれた」と述べた。
設計を担当したブリヂストンPSタイヤ開発第3部長の伊藤貴弘氏は、「サーキットアタックをする方に適したタイヤであり、これまでサーキットを走ったことがない方にとっても『RE-71RS』の高いグリップ力があれば安全安心にサーキット走行を楽しめると思う。多くの皆様に満足頂けるものと確信している」と自信を示した。
同日発表した「POTENZA Adrenalin RE004」は、「一般道や峠を気持ちよく走れるタイヤなので、運転が好きな方など様々なお客様に楽しんでもらいたい」(担当者)と紹介。そのほか、昨年発売のホイール「ポテンザSW010」では、ユーザー人気が高い赤のカラーリングを参考出品していた。
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住友ゴム工業は、“安全・安心な、家族のダンロップ”をコンセプトにダンロップブースを出展した。担当者は「昨年、『事故のない毎日をつくりたい。』というメッセージを掲げたが、これはブランドにとって上位にある。乗用車用からモータースポーツ向けまで様々な展開があるが、モビリティが変化する中でも安全を一番に考えていることを紹介したい」と話していた。
ブースには、3月に発売する「VEURO VE304」の搭載技術や摩耗進行時における従来品(VEURO VE303)とのウェット性能の違いなどを、来場者が操作して体感できるコーナーを設置。ほかにも、“事故のない未来”に貢献するエアレスタイヤなどの技術を紹介するコンテンツや、「VEURO VE304」と一般のタイヤを比較できるドライブシミュレーターを設けた。
目玉商品の「VEURO VE304」は、「対象車種としてクラウンに代表されるプレミアムセダンからアルファードなどのミニバン、SUVまで網羅し、最上級の静粛性や乗り心地を実現した」とアピールした。
また、ファルケンブースでは“Cutting-Edge”をコンセプトに設定。担当者は「若々しさというブランドイメージや、ホワイトレターの『W11』、SUV向けのWILDPEAKシリーズといった商品群を紹介する」と話し、「スノーボードなど“飛ぶ”競技に取り組む契約アスリートたちの競技映像を通し、“タカ”を意味するファルケンの躍動感をPRしたい」と意気込んだ。
また、「ファルケンではSUV系にも力を入れていきたい」とコメント。北米で人気があるWILDPEAKシリーズでは、国内未発売の商品も導入を検討しているという。一方「W11」は、「販売店にホワイトレターの割合などをアンケートして開発した。『カッコ良い』といった声を頂いている」と話した。
フラッグシップの「AZENIS FK510」は「135サイズあり、他社にないサイズもカバーする。輸入車向けに導入したが、国内メーカーのインチアップなどでも装着されているようだ。他の商品と合わせてドレスアップを楽しむ方に選んで頂きたい」と語った。
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横浜ゴムのタイヤブースでは、趣味としてカーライフを楽しむユーザー向けに「ホビータイヤ」をアピールするため、多様なラインアップを並べたほか、タイヤと車両の様々な組み合わせを展示し、多彩なホビーへの対応の幅広さを訴求した。
タイヤ国内リプレイス営業企画部マーケティンググループ課長補佐の斎藤太一氏は展示の目玉に、現在開発中の次期コンセプトモデル「ADVAN NEOVA CONCEPT」を装着した「マックス・オリド・アドバン・スープラ」と、ジムニーのカスタム車両向けサイズの「GEOLANDAR X-AT」の2点を挙げた。
斎藤氏は「『ADVAN NEOVA』の次期コンセプトモデルを披露することで、最高レベルのスポーツタイヤの開発に取り組んでいることを示したい」と述べた。
また「ユーザーの要望に応え、『GEOLANDAR X-AT』にジムニーのカスタム車両向けのサイズを追加したことを周知し、『GEOLANDAR』の力強さをアピールするため迫力ある展示を心掛けた。小さいサイズでは出しにくいブロックの荒々しさや力強さを失わないようパターンを工夫した」と話した。
そのほか、今春発売予定のヒストリックカー向けタイヤ「RADIAL 360 STEEL」を装着した「コルベットC2」をディスプレーし、商品の魅力を発信。さらに、アドバンカラーのミニ四駆を公開することで大人から子供まで幅広い年齢層の新規ファンの獲得も狙った。
ホイールブースでは、「ADAVAN Racing GT BEYOND」など、サイズやカラーバリエーションが追加された商品を中心に展示した。
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トーヨータイヤのTOYO TIRESブースはブランドステートメントの“まだ、走ったことのない道へ。”をコンセプトに、SUV向けブランド「OPEN COUNTRY」シリーズや、フラッグシップの「PROXES」シリーズのラインアップをSUVやドリフト用の車両と共に展示した。
今回のメインはホワイトレタータイヤで、SUV向けの「OPEN COUNTRY R/T」やビジネスバン向け「TOYO H20」のホワイトレター仕様を出品。ドレスアップを楽しむユーザー向けに展開しており、同社は「今後はユーザーの要望に応えつつ、サイズラインアップの拡充を図りたい」としている。
また、同社はデザインと性能の両立に力を入れており、品質保証本部生産財技術サービス部国内地区担当グループ課長代理の伊藤亮氏は「『OPEN COUNTRY R/T』は、マッドテレーンとオールテレーンの両方に対応するパターンデザインを採用し、力強い走りと静かさを両立した」と自信を見せた。
NITTOブースでは、国内未発売の「Mud Grappler」を装着したジープ社「Cherokee」のカスタマイズ車両などを展示し、アメリカのストリートのイメージを表現した。
国内でも発売する「Trail Grappler」シリーズについて、ニットータイヤ販売部課長代理の山口英治氏は「40インチのタイヤにも需要があり、まだ我々が気づいていないニーズがあることを知った。このサイズは国内他社メーカーではほとんど無く、ニットーならではの商品だ。デザイン面でもデュアルサイドウォールを採用するなど力を入れている。今後はサイズを増やして日本でのプレゼンスを高めていきたい」と意気込みを述べた。
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日本グッドイヤーのブースでは、ナスカー参戦車や同社のカラーリングで飾られたWEC(FIA世界耐久選手権)参戦の「ジョタ・スポーツ・オレカ車」を展示した。
さらに、プロのナスカードライバーがレース前に使用するドライブシミュレーター「iRacing」などを設置。マーケティング本部長の有田俊介氏は「昨年、WEC復帰を果たしたように“モータースポーツに戻ってきた”ということをアピールしたい。基本に立ち返り、レースで性能を見せる取り組みをブランドとして本気で行っており、信頼性を発信する」と述べた。
また、金原雄次郎社長は2月に発売するエコタイヤ「EfficientGrip ECO EG02」が「当社のラインアップの中でボリューム的に1、2を占める。経済性を重んじる方に訴求したい」とコメント。同月発売のオンロード/オフロード性能を両立した「WRANGLER AT SILENTTRAC」にも触れ、「SUVセグメントが伸長していく中、ラングラーブランドのような4×4やSUV向け商品のボリュームを伸ばしていきたい」と意気込んだ。
一方、モータースポーツ活動に関して、「年配の方はモータースポーツと当社が結びつくと思うが、若い方にとってはまだまだだ。まず世界的に行われるレースをサポートし、国内ではお客様のモータースポーツ活動を支えたい」と話した。その上で、「こうした活動を通して当社やモータースポーツのファン作りを推進していく」と展望を示した。