雪道での安心を オールシーズンタイヤ乗り比べ②トーヨータイヤ「CELSIUS」

 TOYO TIRE(トーヨータイヤ)は2019年8月からSUV向けオールシーズンタイヤ「CELSIUS」(セルシアス)を発売した。「セルシアス」は2015年より北米や欧州市場に投入しており、突然の降雪でも安心感のあるスノー性能と、安定した走りを実現するドライ・ウェット性能が特徴だ。同社が2月下旬に北海道のサロマテストコースで開催した試乗会で、スノー性能を体感した。

 試乗会当日は気温が0℃前後で、時折雪が舞うような絶好の路面コンディション。トヨタのSUV「RAV4」に装着して圧雪コースを走行した。オールシーズンタイヤは過去にある程度の雪道は問題ないことを経験しているが、どこかで「大丈夫かな」と不安を感じていた面も否定できない。果たして今回は――。

 いざ「CELSIUS」を発進させてみると、そうした気持ちはすぐに吹き飛ばされてしまった。発進時に力強く真っ直ぐに加速していく。ストレートや勾配のあるコースで時速50km、60kmと速度を上げてもまるで夏用タイヤで乾いた道を走っているのと変わらないような安心感を持つ。スピードを落としながらカーブに侵入する動きもスムーズだ。同乗したモータージャーナリストの五味康隆氏は「もしサマータイヤだったら、この速度では曲がれない」と最新のオールシーズンタイヤの実力を解説する。同じくモータージャーナリストの斎藤聡氏も「あまりにも良いので、欧州のウィンタータイヤのように感じてしまうのでは。『CELSIUS』は『加速して、このくらいで曲がってくれる』というバランスが非常に高い」と太鼓判を押す。

 一方で、その安心感に油断してしまうことは禁物だ。コースの所々に凍結している部分があり、そこを走れば当然ながら“滑る”。ただ、夏用タイヤでは身動きが取れないようなシーンでもグリップを完全に失うようなレベルではない。「数世代前のスタッドレスタイヤと同等レベルの性能は備わっている」(五味氏)という例えが分かりやすいかもしれない。

 こうした冬性能を確保するために、「CELSIUS」はゴムとパターンに独自技術を搭載した。トレッドのコンパウンドには、シリカの分散を向上させるアクティブポリマーを搭載。また、スノー性能を最大限に発揮する非対称パターンを採用したことも性能に寄与した。また、これらの技術は夏用タイヤとして必要なウェット性能の向上と転がり抵抗の抑制にも貢献しているという。

 オールシーズンタイヤを「新たなカテゴリー」と位置づけるトーヨータイヤ。「CELSIUS」はここ数年、人気が高まるSUVユーザーをメインに市場を開拓していくほか、ニーズに応じて乗用車用タイヤのサイズ拡充を検討していくという。

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