横浜ゴムは6月11日、ハイパフォーマンス・スポーティー・タイヤの新商品「ADVAN FLEVA V701」の試乗会を日本自動車研究所城里テストセンターで実施した。「FLEVA」は「ADVAN Sport V105」をベースに開発を行い、操縦安定性、静粛性にも考慮したスポーティー・タイヤだ。今年からワンメイクタイヤを提供しているスーパーフォーミュラで培った技術が採用されている。
スポーツタイヤでありながら、ラベリング制度で転がり抵抗「A~B」、ウェットグリップ「a」の評価を持つエコタイヤでもあり、街乗りやワインディングロード、高速道路などで「楽しいハンドリングで、走る歓びを提供する」というテーマとともに、ADVANシリーズの新機軸として投入される。
高いウェット性能に爽快感と静粛性を
走行するとまず、その静粛性に驚かされる。今回、外周路と高速周回路で使用したタイヤは約8000kmの走行に相当する摩耗をしていたが、非常に静かだった。
比較対象となった「S.drive」は、摩耗したスポーツタイヤに特有のロードノイズが目立ち始めていたが、「FLEVA」は言われるまで新品と間違うほどの静粛性を維持していた。
シリーズの中では高い静粛性を持つ「ADVAN db」と比較すると多少ノイズを感じるが、それでもスポーツタイヤとは思えないほど。低速から高速まで耳につく音もなく、パターンノイズもほぼ気にならないレベルに抑えられている。
これは今回採用された「非貫通パターン」による。通常、スポーツタイヤは摩耗が進むとノイズが目立ち始める。このノイズを抑えるため、「FLEVA」はパターンの横溝を非貫通形状にしている。これによって、高い排水性能とウェット性能を維持しながら、ヒール&トゥー摩耗を抑え、徐々に悪化するタイヤノイズを抑制しているという。
大きく向上したウェット性能は、一部が散水された旋回試験場での高速のコーナリングで試すことができた。
乾燥した路面から高速で侵入しても、濡れた路面の滑りをほぼ感じず、安定性を保っていた。また、カーブでの応答が早く、濡れていてもすんなりと体勢を整えて、安定した運転を楽しめる。
気になるブレーキ性能も大きく向上。散水路では80km/hまで加速してからの急ブレーキを行ったが、「S.drive」に比べて平均して2m強も停止距離が短くなっており、高いウェット性能を体感できた。
スポーツタイヤとしては柔らかな設計になっているという専用コンパウンドには、ナノブレンドゴムにオレンジオイルを配合。グリップ力を高め、同時にウェット性能を向上している。
旋回試験場でのスラロームも、高速運転時のハンドリングに対して遅れを感じさせず、素直に車の方向を変える。
入力に対する遅れがほとんどなく、急なハンドリングにも程よく踏ん張るため、安定性と運転の気持ち良さだけでなく、後部座席の振り回される感覚も少ない。ハンドリングの軽快感を保ちながら、車体に対して素直な運転ができる印象があった。
これもショルダー部の横溝を主溝に対して非貫通にしたことによる。ブロック剛性を強化して、ハンドルを切った時のダイレクトな操作性を高めているためだ。
街乗りも楽しくなるタイヤ
一般道を想定した外周路でも、地面の凹凸を吸収し、ゆったりとしたハンドリングで流すように車を走らせることができるため、気持ちいいドライブを楽しめるタイヤといえる。
こまめな加速、停止にも応答が良く、ブレーキ時の踏ん張りとキレもいい。頻繁なストップ&ゴーを繰り返す街乗りでもストレスなく運転でき、スポーツタイヤのキビキビとした爽快感と、安定した操縦性、静粛性を高いバランスで共存させている。
「あえて車種をイメージさせない」(政友毅消費財製品企画部部長)ため、豹のラッピングカーをキービジュアルに使用している。試走会でも様々な車種に装着されていたが、どの車種でもハンドリングの快適さと静粛性は変わらず、クルマを選ばないタイヤを実感させた。スポーツカーだけでなく、コンパクトカーからミドルクラスセダン、CUV、チューニングカーなど多くの車種に幅広く対応する。
静かで快適、日頃は低燃費なエコタイヤでありながら、時々はスポーティな走りを楽しみたい。車種を選ばず、スポーツタイヤの走りを楽しみたい。そんな欲張りなユーザーの要望に応えるタイヤといえる。