史上最高のトータルバランスを ミシュランの最新スタッドレス「X-ICE SNOW」

「X-ICE SNOW」

 日本ミシュランタイヤは乗用車・SUV用スタッドレスタイヤの新商品「MICHELIN X-ICE SNOW」(ミシュラン・エックスアイス・スノー)を8月11日から順次発売する。新商品は日本の冬季路面を徹底的に分析し、アイス・スノー性能をはじめ、あらゆる性能をバランス良く発揮することを目指して開発した。2月上旬に北海道の交通科学総合研究所の士別試験コースで開催した試乗会で一足早くその性能を確かめた。

 「X-ICE SNOW」は従来品「X-ICE3+(プラス)」から3年ぶりに発売するスタッドレスタイヤ。ただ、「X-ICE3+」は2012年に発売した「X-ICE3」のトレッドパターンを踏襲し、コンパウンドの改良に主眼を置いて開発したことから、実質8年ぶりのフルモデルチェンジと位置付けることもできる。

 今回は開発にあたり、「世界で最も厳しい」と言われる日本の消費者ニーズを徹底的に分析し、“X-ICE史上最も止まる”をコンセプトに据えた。日本の冬の路面は地域や時期、さらに時間帯によっても大きく変化する。長距離はもちろんのこと、たとえ僅かな時間の運転だったとしても凍結している路面もあれば、積雪、シャーベット、ウェット、ドライと様々なシーンに遭遇することが少なくない。

 実際、同社が交通事故総合分析センターの資料をもとに作成した北海道の路面状況別事故件数(2018年12月~2019年2月)によると、凍結路面での事故が半数、積雪路面は26%だったが、4分の1は湿潤路面と乾燥路面で発生していることが分かっている。これは一口に“冬道”といっても多様な路面があると捉えることもできる。だからこそ、スタッドレスタイヤには高いレベルで幅広い性能が求められる。

 同社のPC/LTタイヤ事業部の黒谷繁希ブランド戦略マネージャーは、「新商品は世界でも過酷な日本の冬道を克服した、全ての冬道に安心感を届けるスタッドレスタイヤに仕上がっている」と自信を示す。

コンパウンドやパターンを全面改良

パターンなどを全面的に進化させた「X-ICE SNOW」

 「X-ICE SNOW」は従来品からコンパウンドや溝形状、サイプの深さや数などを全面改良していることが特徴。ユーザーニーズが最も高いアイスブレーキ性能は9%、雪上ブレーキ性能は4%それぞれ向上しつつ、長期使用に耐えられるロングライフ設計によって、安全性と経済性に貢献するとともに環境負荷低減にも配慮したという。

 新しく採用したコンパウンドは、剛性の高いポリマーベースの材質を配合。ベースコンパウンドとの摩耗差により微小な凹凸を生成することでエッジ効果と水膜を破って接地するアイスグリップ性能を高めたほか、雪上では雪を踏み固めて蹴りだす効果を発揮する。さらに、このコンパウンドを溝底部まで採用し、使用末期まで摩耗しても接地面の凹凸が再生され続けるため性能を持続できるという。

 今回はパターンも一新した。新しいサイプによって、倒れこみを防止して安定したハンドリングや高いグリップ力を実現しつつ、サイプの長さを拡大してエッジ効果を強化。シャーベットやウェット路面でも効率良く雪や水を排出し、より安定したグリップ力を生み出せるようになった。

アイス路面で高いグリップを発揮

 試乗会場は士別市にある冬用タイヤのテストコースと周辺の一般道。生まれ変わったミシュランの新商品だが、まずは大きく進化したというアイス性能を確かめた。

北海道士別市で行われた「X-ICE SNOW」の試乗会

 パフォーマンスは歴然とした差が現れた。ドーム型の氷盤試験路で時速20kmからフルブレーキをかけて制動距離を複数回計測したところ、従来品より平均で1mほど手前で停止する。しっかりと路面を掴む感覚はブレーキング時だけではなく、発進する際にも感じることができた。アクセルを強く踏み込んでも車体がブレることなく、氷を“ギュッ”と掴みながら確実に前進していく印象だ。スケートリンクのようなコースで旋回しても膨らみは少なくて済む。

 このグリップ力の高さはスノー路面や圧雪路がメインだった一般道でも威力を発揮した。従来品ではコーナリング時などで多少ハンドルの乱れがあったのに対し、新商品は安定してコントロールできるため一段上のレベルの安心を感じるのだ。

 さらに、この評価は車種を選ばない。新商品は14~22インチの全84サイズをラインアップするが、SUV向けの大口径ゾーンも数多く投入する。試乗会でもトヨタ「ハリアー」やレクサス「RX」といった車重のある車両が用意されていたが、セダンに乗車した時と変わらない安定感、タイヤの剛性感がもたらす性能の進化を実感する。

 そして、特筆すべきは冬性能を高めてもそれ以外の性能をきちんと維持、向上している点だ。同社が行った社内試験では性能持続性や総合的なライフ性能の向上が確認できているという。一つの性能に特化せず、「全てを犠牲にしない」という“ミシュラン・トータル・パフォーマンス”の考え方を具現化し、更に磨きをかけた新モデルといえるだろう。

スタッドレスタイヤの“パイオニア

 日本ミシュランタイヤによると、国内で初めてスタッドレスタイヤを発売したのは同社で1982年に遡るという。スパイクタイヤの粉じんによる公害が社会問題化していた当時、初めて「XM+S100」を発売した。その後、様々なシリーズを経て2004年に初代「X-ICE」を発表し、「X-ICE SNOW」は5世代目となる。

 これまで日本の冬用タイヤ市場で約40年の歴史がある一方で、依然として「外国メーカーだから日本の道には合わないのではないか」「アイスバーンには国内メーカーが合っている」といった意見も聞かれるという。それに対し、PC/LTタイヤ事業部の黒谷繁希ブランド戦略マネージャーは「当社の開発で最も重要なことは消費者のニーズを反映することだ。日本のスタッドレスの歴史を切り拓き、日本を知り尽くしている」と力を込める。

 ここ数年、様々なカテゴリーで重要視されている「性能持続性」についても早い段階から着目してきた。「『減るスタッドレスほどよく効く』という消費者の声もあるが、『減らない』スタッドレスでも効くものはある。全ての性能が高いレベルであるのがミシュランの強みだ」と強調し、その性能とこれまで培ってきた歴史に自信を示す。

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