住友ゴム工業は8月から発売したスタッドレスタイヤの新商品「WINTER MAXX03」(ウインター・マックス・ゼロスリー)の報道向け試乗会を横浜市内のスケートリンクで開催した。
トヨタ「ヤリス」に新商品と従来品(ウインター・マックス02)をそれぞれ装着し試乗したが、最も性能の進化が感じられたのは発進時だ。新商品はタイヤが空転することなく、しっかりと直線的にスピードが上がる。このグリップ力は、氷上ブレーキ性能の従来品比22%向上という数値に表れている。同社の試験では新商品が従来品に比べて3.1m手前で止まることが確認できている。
これは新開発の「ナノ凹凸ゴム」により、「タイヤが路面に接地するわずかな時間の中で氷表面の水をいち早く除水し、そのあとの密着できる時間を長くした」(タイヤ技術本部第一技術部課長代理の中島翔氏)ことが寄与している。
ナノ凹凸ゴムは水膜までの到達を早める凹凸構造と、氷との密着力を高める柔軟性が特徴。ゴム内部には水と反応して溶ける「MAXXグリップトリガー」が分散しているため、摩耗してもゴム表面に新たな凹凸構造が生まれる。
さらに、ゴム配合の最適化やゴムの柔らかさを保つ「液状ファルネセンゴム」の採用により、氷路面への追従性を向上し、維持するという。
円旋回でも軌道が膨らむことなく、ハンドルをきればタイヤがグッと思い通りに反応する。新商品では氷上コーナリング性能が11%向上したこともポイント。サイプの角度やブロック形状を最適化し、横方向の引っかき効果を高めた。
また、ランド比は3%向上して接地面を確保。背反となる雪上性能を両立するため、溝底に圧雪に刺さる角を設けた「シングルスロープ」や、雪柱せん断力を高める溝の交差点を配置したほか、パターンノイズを17%低減するなど、「総合性能の高さ」(中島氏)に自信を示す。
試乗会では、タイヤ国内リプレイス営業本部販売企画部の角屋眞実子課長が「新商品は氷上ブレーキ性能が2世代分ほど進化した。冬商戦の目玉として増販を図っていきたい」とコメント。その上で、「新型コロナウイルスの対策を取りながら販売店様と一緒に下期を盛り上げていく」と意気込みを示した。