“トータルエイミング”支えるバンザイのチェンジャー/バランサー

 1920年の創業以来、自動車業界の発展と共に歩んできたバンザイ。近年の車両搭載技術の進化や大口径タイヤの普及に伴い、タイヤチェンジャー・ホイールバランサーでは高度な分析が可能なハイエンドモデルをラインアップしている。さらに省力化のニーズにも応え、電動パワークランプやレバーレスといった機能を備えた製品も複数展開し、整備業界を足元からサポートする。営業情報企画部営業推進一課参事の福田守利氏にそれぞれの製品を紹介してもらった。

ユーザーの整備作業ニーズに応える

「GEO-OPTIMA2」
「GEO-OPTIMA2」

 バンザイでは、車両に搭載される制御技術の進化を背景に、“トータルエイミング”というコンセプトを訴求している。エイミング作業ではカメラやレーダーのキャリブレーションのみならず、足回りの整備やタイヤの空気圧、車体のゆがみ、車高といった様々な項目についてチェックする重要性を伝えるものだ。

 確かなエイミング作業を支える足回りの整備には、アライメントテスターだけではなく、ホイールバランサーやタイヤチェンジャーも貢献する。車両がまっすぐ走らない原因になることもあるタイヤ単体の問題は、バランサーやチェンジャーで分析することが可能だからだ。営業情報企画部営業推進一課参事の福田守利氏は「タイヤのユニフォミティといって基本的には“形状”“重量”“質量”の3つの均一性が原因で、車両がまっすぐ走らないこともある」と説明する。

「Formula UNIFORMITY」
「Formula UNIFORMITY」

 「GEO-OPTIMA(ゲオオプティマ)2」は、レーザーと3Dカメラによる解析機能を備えたホイールバランサーのハイエンドモデル。福田氏は「“重量”と“形状”の分析を完璧に行える」と自信を示す。

 同製品は、レーザーとカメラでホイールデータの計測を非接触・全自動で実施。通常のアンバランス計測はもちろん、「オプティマモード」では5つのカメラで捉えた画像分析結果を確認することも可能だ。その一つは「トレッド面画像分析」――トレッド面の摩耗・損傷状態について、色分けしたトレッド面の画像とタイヤの断面形状を表示するもので、容易に視覚判断ができる。

 さらに、サイドウォール部の摩耗・損傷状態に関しても同様の画像分析を提供するほか、画面に摩耗・損傷状態を色分けしたタイヤ全体を表示し、視覚判断することも可能だ。

 また、ラジアルランアウト(縦振れ)、ラテラルランアウト(横振れ)などの計測結果もグラフ化して表示するほか、ホイール単体でのアンバランス・ランアウト測定も実施でき、タイヤとの最適なマッチング位置を確認できる。

 タイヤチェンジャー「Formula UNIFORMITY」(フォーミュラー・ユニフォミティ)にはロードフォース(タイヤ剛性)測定機能が付いており、タイヤの “質量”の均一性を調べることが可能だ。ロードフォースローラーが同製品上で回転するタイヤに荷重をかけ、車両走行時の振動、車両流れの不具合診断を実行する。

 福田氏は、「車両の軽量化や剛性の向上に伴いタイヤのユニフォミティの影響が分かりやすくなっており、さらに偏平タイヤでは質量などの問題がシビアに表れる」とした上で、「形状と重量のマッチングだけではカバーできないケースもまれにあり、ここ10年でロードフォース測定の需要が出てきた」と話す。こうした市場環境を踏まえ、バンザイは「Formula UNIFORMITY」を導入したという。

 なお同製品には、レーザーセンサーでホイールのゆがみやタイヤの偏摩耗などを計測する機能も装備しており、タイヤ・ホイール形状の分析にも対応する。

「GEO-7700P」
「GEO-7700P」

 また、通常はタイヤの高度な分析を行う際にはタイヤの脱着作業が必要だが、レバーレスタイヤチェンジャーの「Formula UNIFORMITY」の場合は、同製品上で高度な分析と容易な組み換え作業を共に実施できる点も強みだ。

 バンザイでは、高いレベルの分析が可能なホイールバランサー「GEO-OPTIMA2」と、タイヤチェンジャー「Formula UNIFORMITY」をそれぞれラインアップすることで、各ユーザーが足回りの整備機器に求めるニーズに応えている。

 同社はタイヤチェンジャーやホイールバランサーで、ハイエンドモデルのほかにも多数の製品をラインアップしている。

「MON-8800P」
「MON-8800P」

 今年7月にはホイールバランサー「GEO-7700P」を発売。赤外線超音波センサーでサイズ入力やスポーク本数の確認、修正位置の選択を自動で行い、容易で素早いアンバランス測定が可能なモデルだ。

 ラジアルランアウトといった項目も計測し、高精度な整備作業に貢献する。

 「GEO-OPTIMA2」や新商品「GEO-7700P」など、バンザイのバランサーでは電動パワークランプを採用。性別や経験に関わらず常に一定の圧力による締め付けを実現する。

 また、タイヤチェンジャー「MON-8800P」は同社の主力製品だ。レバーレス機構で力を掛けずに脱着作業ができる同製品は、ディスク型ビードブレーカーだけではなく、サイドビードブレーカーも搭載したことが特徴。これにより、ディスク型だと作業が難しいこともある14、15インチ程のタイヤも容易にビードブレークできる。

「R-2200A」
「R-2200A」

 福田氏は「これ1台で通常サイズから大口径タイヤまで対応でき、都市部の狭小作業場のお客様などにも一押しだ」と話す。

 そのほか、9月にはスイングアーム方式のタイヤチェンジャー「R-2200A」も発売。ロッキングピン機能を備えることで、製品そのもののサイズを大きくすることなく、従来品よりも大口径サイズに対応可能となった。

 最上位機種からエントリーモデルまで多数のタイヤチェンジャー・ホイールバランサーをラインアップし、それぞれの組み合わせでユーザーの整備作業へのニーズに応えるバンザイ――福田氏は「クルマの搭載技術が高度になっているため、足元も見つめ直してしっかりと整備に取り組んでいただきたい」と話していた。


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