接客技術の向上で販売増へ タイヤセレクトの取り組み

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カテゴリー: レポート, 現地

 住友ゴムでは全社の接客技術向上のため、全国のタイヤ販売店を対象にした「ダンロップタイヤ全国接客コンテスト」を行っている。同社の接客への高い意識と技術はコンテストを通して各店舗にフィードバックされ、エンドユーザーの対応に活かされる。今年で10回目を迎えた同コンテストで優勝したタイヤセレクト世田谷用賀店の加籐里紗さんに接客のポイントを聞いた。

「一緒に選ぶことが重要」

 入店するとまず、おしゃれなリビングのようなレイアウトに驚く。オープンシェルフと緑のインテリアが織りなすくつろぎの空間だ。女性ひとりでも入りやすい店内は、もちろん年配者や男性も落ち着いてタイヤを選べる、ゆとりある雰囲気を作っている。

タイヤセレクト世田谷用賀店
タイヤセレクト世田谷用賀店

 家族連れのためには、作業時間中に近くの自然公園で遊ぶためのおもちゃも用意されている。また、周辺の飲食店などを紹介したブックレットもあり、きめ細かな気遣いが行き届いている。

 このレイアウトやグッズは、同店の販売スタッフ加籐里紗さんによる。「おしゃれなお店で買物をすると気持ちが上がる。自分が訪れて楽しい店にしようと思った」と話す加籐さんは、2015年のダンロップ接客コンテストで優勝を飾った。

 加藤さんが接客で最も心がけているポイントは「お客様が楽しいと思っていただけるよう、自分自身も接客を楽しんでいる」点だ。

 生活の足としてクルマが大きな割合を持つ同店の営業エリアでさえも、タイヤは日常的な必需品を選ぶという意識が大きい。だからこそ「タイヤ選びを楽しんで欲しい。欲しい物を選んで買う喜びを感じていただきたいし、この人から買ってよかったと思ってもらえると一番嬉しい」という。

 ニーズの引き出しも大切にしており、「用途をお聞きして、イメージを元に具体的な提案をしている」という。これは接客研修で教えられた基礎を守っている部分だ。「聞かれることでお客様もイメージしやすくなり、具体的な提案が進む」

 女性ならではの細やかな気遣いと柔らかな物腰だが、気負いは感じられない。あくまで自然体で顧客に接している。

加籐里紗さん
接客コンテストで優勝した加籐里紗さん

 その姿勢を一番感じさせるのが、接客時の目線だ。顧客に提案するとき、向かい側ではなく、椅子に座ってタブレットを見る顧客の目線の延長に座る。顧客はタブレット上で商品説明を受けながら、顔を見て相談ができる。

 「端末はあくまでツール。買う時は人が接客して買うものだと思うので、そこを疎かにしてはいけない」

 そして、提案したタイヤを顧客のそばに運んで実際に触れて貰う。実物のタイヤを前にすると、画面だけではわからなかった部分がより具体的になり、さらに提案が進む。顧客が本当に欲しいものを同じ目線で探していく。まさに生身の接客だ。

 このような接客技術は、研修のあとコンテストに向けて、店舗スタッフの協力を得てロールプレイングを重ねた結果、身についたものだ。

 「練習を重ねて何度も繰り返すことで、日常の接客でも自然と言葉が出てくる」

 技術だけでなく、共感力の高さもある。例えば女性客の場合、タイヤのサイズすらわからないことも多い。そういう時に、化粧品などの身近なものに例えて提案することで、より理解を得やすい。

 女性ならではの視点だが、標準化することで他のスタッフも接客のどこに気付けば顧客が喜ぶのかわかりやすい。“気付き”のきっかけになるポイントが多いのも加藤さんの接客の特徴だ。

 同時に他のスタッフが使った良い表現も積極的に吸収し、技術をブラッシュアップしている。

 優勝後の目標を、「今後は接客技術を伝える側として頑張りたい」と話す。

 同社では、ダンロップのタイヤを扱う店舗に、サポートの一環として接客技術の提案を行っている。加藤さんの高い接客技術は、そういった営業活動の力強い助けとなる。

 「お客様と一緒に選ぶということがなによりも大切。自分が良いと思うものを勧めるより、本当に欲しいものはなにかを一緒に探して、そこから長いお付き合いができることを心がけている」――顧客の気持ちに寄り添う加藤さんの姿勢は、同社の接客技術のさらなる向上と販売促進に繋がることを感じさせた。


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