小野谷機工「作業補助テーブル」「タイヤ積上げ機」で省人化に貢献

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カテゴリー: レポート, 整備機器

 国内で人手不足が叫ばれるようになって久しい中、その対応策の一つとして整備作業の現場でも省人化への取り組みが進められている。小野谷機工は以前から作業の軽労化、さらに安全性向上に寄与する製品開発に注力しており、このほど、タイヤホイールの持ち上げに起因する負担を軽減できる作業補助テーブル「Easy System」、タイヤの積み上げ作業を容易にする積み上げリフト「Easy Lift Good 70-Li」の本格販売を始めた。

タイヤの上げ下げは最小限で「Easy System」

一連の作業をスムーズに完結する
一連の作業をスムーズに完結する

 タイヤ整備で大きな負担が掛かる要因の一つにチェンジャーやホイールバランサーへタイヤ・ホイールを持ち上げては下ろすといった作業がある。繁忙期にはこの動作を何度も繰り返すことになり、これを軽労化できれば、オペレーターへの負担は大幅に軽減できるだろう。ではどう実現するか?――小野谷機工が導き出したコンセプトは「タイヤを床面に一切下ろさずに、一定の高さのまま平行に流す」というものだ。それを具現化して昨年12月から発売している製品が作業補助テーブル「Easy System」(イージー・システム)となる。

 通常、チェンジャーにセットする際はリフトでタイヤを持ち上げてセットし、交換後はタイヤをまた下ろして次の空気充てんに進み、さらにバランサーでも同様の上げ下げが行われる。

 一方、同社のシステムは各工程の高さを揃え、タイヤをそのまま横にスライドするような仕組みだ。つまり、1度の工程で3回は必要だったタイヤ上げ下げが1回で済むことになる。

 製品担当の商品開発部機器商品開発グループの吉川真仁部長代理は、「腰への負担を軽減するために、何とか下ろさずに平行に移動できないかと開発した。このシステムはタイヤ交換作業の軽労化ラインになる」と期待を込める。

「作業補助テーブル」
「作業補助テーブル」

 システムの構成は、タイヤチェンジャー用セットリフト「ES-01PL」、自動充填機付きセーフティケージ「ES-02SCβ」、ホイールバランサー用セットリフト「ES-03BL」、さらに安全囲いが不要な場合はセットテーブル「ES-02ST」が用意されており、作業が終わったタイヤを一時的に置いておくような使い方もできる。

 仕様は2パターンあり、セーフティケージ仕様は幅2750mm、セットテーブル仕様は2480mmと、様々な現場に導入しやすい省スペース設計を実現した。

 今回は2人作業を実演してもらった。1人はチェンジャーからエア充てんまでを担当し、もう1人はバランサー作業と、役割を分けて行うが、その一連の動きは非常にスムーズだ。従来と比べると作業者への負担減は明らかで、次々とタイヤが流れていく様子を見ると、作業そのもののスピードアップにもつながっているようだ。

 ここ数年、急速に求められるようになってきた安全性向上や軽労化の動きの中で、これまで避けては通れなかったタイヤの上げ下げという作業。現場の課題解決に寄与する「Easy System」は確かな効果が期待できるだろう。

 構成モデル1台ずつでも購入が可能だが、同社ではより効率的な作業を実現するためにセットで設置することを推奨している。

タイヤの積み上げを容易に「Easy Lift Good70-Li」

「Easy Lift Good70-Li」
「Easy Lift Good70-Li」

 倉庫などで必ず必要となるタイヤの積み下ろし作業。8段分を積み重ねるのが一般的で、最上段は約2mと大人の背丈よりも高く、トラック・バス用タイヤなど重量がある場合、手作業では相当な労力が求められる。さらに、1回で済むのではなく複数回繰り返せば身体への負担も増してくる。現場サイドからは「この作業を何とか楽にできないか」という要望が寄せられていたという。

 小野谷機工商品開発本部機器商品開発グループの三田村廣大リーダーは「そうしたお客様の困りごとの相談から生まれた作業負担軽減機器」として、作業を簡単に行えるタイヤ積み上げリフトを提案する。

 同社は2019年に「Easy Lift Good(イージー・リフト・グッド)70」を上市。そこに今回追加されたのがリチウムイオンバッテリーを搭載し、コードレス化した新モデル「Easy Lift Good70-Li」だ。

 宇田公郎専務取締役は「タイヤ倉庫は通路が狭いことが多く、コードがあるとどうしても制約が出てしまい、コードレスへのニーズがあった」と開発の背景を話す。

 リフト能力は最大約70kgで、フル充電で約1500本のタイヤ積み上げを実現する。充電時間は約2時間、充電回数は2000回以上を可能とした。

LED照明装置
LED照明装置

 実際の作業はリフトを所定の位置まで運び、タイヤシューターを開いてタイヤを乗せる準備を行う。その後、リフト台にタイヤを乗せてボタン一つで所定の高さまで上昇させたら、タイヤを倒し込むように積み上げていくだけだ。上昇スピードは早く、あっという間に積み上げ作業を終えてしまう。コンセント電源が不要のため広い範囲での使用が可能で、コードが無いことで取り回しが容易になるのも利点だ。

 さらに安全な作業環境を実現する機能も備えた。顧客からは「倉庫内は薄暗いため、照明を組み込めないか」といった意見が聞かれており、それに応えたLED照明付きの「Luce」(ルーチェ)タイプもラインアップに加わった。三田村氏は「作業場を明るく照らし、作業効率のさらなる向上を実現できる」と、その性能に自信を示していた。


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