ブリヂストンの「BLIZZAK VRX3」信頼に応える性能を追求

 ブリヂストンは乗用車用スタッドレスタイヤの新商品「BLIZZAK VRX3」(ブリザック・ヴイアールエックススリー)を9月1日に発売する。新商品はドライ性能やウェット性能などを確保しつつ、ニーズの高い氷上性能や効き持ち性能、ライフ性能の更なる向上を達成。5月下旬に神奈川県のコーセー新横浜スケートセンターで開催された試乗会で、“新次元のプレミアムブリザック”を商品コンセプトに掲げる「VRX3」の性能を体感した。

新技術でアイス性能を大幅向上

「BLIZZAK VRX3」
「BLIZZAK VRX3」

 「ブリザックVRX3」は、2017年に発売した従来品「ブリザックVRX2」から4年ぶりのフルモデルチェンジとなる。ブリヂストンの調査において降雪・非降雪地域で共にユーザーが最も重要視していた氷上性能を追求し、氷上ブレーキ性能は従来品より20%アップしている。

 新商品の氷上性能向上にはコンパウンドに採用した「フレキシブル発泡ゴム」が大きく寄与する。発泡ゴムは、同社がブリザックシリーズに搭載してきたゴム技術で、ゴムの中に含まれる球状と筒状の発泡が水の膜を除去し、ゴムと氷の接地を確保することで氷上性能を高めるもの。ブリヂストンの大城廣樹PSタイヤ設計企画第1課長は「氷上性能を高めるには、滑りの原因となるタイヤと氷路面の間にある水膜を除去し、路面にタイヤを接地させ、摩擦やひっかきで力を出すことが必要になる」と説明する。

 新しい発泡ゴムでは、筒状の発泡の断面形状を円形から楕円形に変更したことにより、毛細管現象で吸水力が上昇。これによってミクロでの接地面積が増え、氷上グリップ性能が上がった。

「BLIZZAK VRX3」
「BLIZZAK VRX3」

 パターンは、除水機能を維持しつつ、接地面内への水の侵入を抑制することを目指して設計した。ショルダー部には「L字ブロック」を搭載したほか、ブロックを貫通するサイプと端が行き止まりのサイプといった機能が異なる2種類のサイプを採用。これらにより各ブロックの除水効果を高めてマクロの接地を向上し、グリップ力をアップすることで氷上性能の向上を達成している。

 また、ブリヂストンの調査で判明した使用期間の長期化に対応するため、効き持ち性能も大きく改善した。ゴムには従来のオイルよりもゴムから抜けにくい新ポリマーを配合し、経年でのゴムの硬化を抑制。柔らかさを維持することでグリップ性能を長く保つ。

 さらに、ユーザーからのニーズが高い摩耗ライフの向上を目指し、サイプ角度をブロックの形状や向きに応じて変更することでパターン剛性をコントロールしたほか、周方向溝の配置やブロック形状をそろえてタイヤの接地圧を均一化した。このデザインにより、タイヤと路面の滑りが抑制され、摩耗ライフが17%高まった。

 大城第1課長は「『VRX3』はモビリティ社会の安心・安全や断トツの氷上性能の追求という『ブリザック』の使命に加え、技術の蓄積や発泡ゴムの進化で氷上グリップを高める技術を探求した商品」とした上で、「新商品を通じて、冬のより安心・安全なカーライフを実現する」と自信を示した。

氷に密着して安心感を提供

 コーセー新横浜スケートセンターでは、トヨタ「プリウス」に新商品と従来品を装着。スケートリンク上に設置した円形コースで旋回し、「ブリザックVRX3」の氷上性能を確かめた。

「BLIZZAK VRX3」
「BLIZZAK VRX3」

 10km/h程度の低速で円に沿って周回すると、従来品では外に引っ張られるように感じ、軌道が膨らんでしまうこともあった。一方、新商品はハンドル修正の必要がなく、コースに沿うように走行することが可能で、グリップ力の高さが感じられた。

 また、12~13km/hほどまで加速しても氷へのしっかりとした密着感やグリップ感が失われることなく、走りを安定させることができる。従来品の走行では加速時に滑るような感覚を覚える場面もあったが、新商品は路面をしっかりつかみながら走行している印象だ。

 円形の周回軌道を離れ、数m離れた地点からだ円を描くように元のコースに戻る動きを試すと、新商品は従来品よりグリップの回復が早く、コントロールに対して素早く反応する。同社の担当者は「新商品はしっかりグリップして、ハンドルへの反応も良い」と話していたが、確かに滑りに対して不安を感じることのある冬道でも安心感に大きく寄与しそうだ。

 高い氷上性能の実現と、ウェットやドライなどあらゆる路面でも走りを支えることを目指した「ブリザックVRX3」。新商品は多くの消費者から支持を得てきたブリザックブランドのタイヤとして、ユーザーの信頼に応える新モデルと言えるだろう。


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