グッドイヤー「ICE NAVI 8」高い冬性能とライフを実現

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カテゴリー: レポート, 試乗

 日本グッドイヤーは8月から乗用車用スタッドレスタイヤの新モデル「ICE NAVI 8」(アイスナビ・エイト)を発売した。新商品は新開発のパターンやコンパウンドの改良により、氷上でのブレーキ性能やコーナリング性能を高めつつ、ライフ性能や静粛性も一段上のレベルに引き上げたことが大きな特徴。2月下旬に実施した公道での走行会でその性能を確かめた。

「ICE NAVI 8」
「ICE NAVI 8」

 「アイスナビ」シリーズは1997年に日本市場に初めて導入されたスタッドレスタイヤブランド。その後、モデルチェンジを行うたびに最新技術を投入し、ユーザーの安全走行を支えるために性能を進化させてきた。今回の「アイスナビ8」は、従来品(アイスナビ7)から4年ぶり、シリーズとして8代目のモデルとなる。

 開発にあたり、同社が行った調査によると、一般ドライバーが乗用車用スタッドレスタイヤに求める性能は「凍結路での性能」がトップ、2位以下は「雪上での性能」「長持ちすること/耐摩耗性能」などが続いた。この結果を受けて、同社では「ユーザーから冬道性能への要求が常に高い。さらに、サステナブルな取り組みも一層強く求められるようになってきており、ライフ性能も期待されている」と分析している。

 こうした市場環境を背景に同社が打ち出したコンセプトは、「ロングライフと相反するアイス・スノー性能、ドライ・ウェット性能を高次元で持ち合わせた新スタッドレスタイヤ」――スタッドレスとして不可欠な冬道性能のみならず、ライフ性能も大きく向上させたのが「アイスナビ8」となる。

 プレミアムカーやSUV、軽自動車など国内市場で使用される様々な車両をターゲットに13~19インチの全69サイズを展開する。

シリーズ初の「非対称パターン」採用

 「アイスナビ8」に搭載した主な技術は新たなトレッドパターンと改良したコンパウンドの2つ。特に「アシンメトリックNAVIパターン」と呼ぶ非対称パターンを初めて採用した点に注目だ。このパターンは新商品が目指した様々な性能向上に大きく寄与している。

「ICE NAVI 8」
大きく改良したパターン

 今回は新たなエッジやイン・アウトのデザイン、ブロックの倒れ込みを抑制するブレードを改良してランド比を2%向上。さらに、ピッチ数、プロファイルを最適化することで凍った路面に対してより広範囲かつ均一に接地できるようにした。

 新パターンは雪道でも性能を発揮する。雪柱せん断力を高める交差点の役割として「マルチ・インターセクション」を配置。また、確実に雪を掴むために横方向へ太いラグ溝を施したデザイン、両端のブロック剛性をアレンジして接地時は雪柱を形成し、非接地時は開く方向に変形しやすく排雪を促すスロットなども取り入れている。

 新たに改良したコンパウンドには柔軟性を高める極小分散シリカを採用し、凍結路面で優れた密着性が期待できる。

 これらのパターンとコンパウンドの相乗効果により、アイス性能は従来品と比較して8%向上。また、アイス性能を高めていくと通常はマイナスに働くライフ性能は3%アップさせている。さらに、コンパウンドに軟化剤を採用して高い性能を長期間維持することが可能となった。

ドライでの快適性と冬性能を両立

「ICE NAVI 8」
「ICE NAVI 8」

 今回の試乗会は都内から長野県の志賀高原エリアを目指すというもの。トヨタ「プリウス」に新商品「アイスナビ8」を装着し、関越道・上信越道を使用する約280kmのルートだ。

 当日は好天だったこともあり、走行距離のうち8割はドライ路面での運転となったが、走り出してからすぐに感じたのは操縦安定性の良さだ。当初はスタッドレスで非降雪路を長く走行することに若干の不安があったが、新たなプロファイルがもたらした適度な剛性感があり、夏タイヤで走行しているような印象を持つ。

 さらに、静粛性も申し分ない。今回ピッチ数は21%アップして配列を最適化。これによりパターンノイズを31%、ロードノイズは16%それぞれ低減しているという。レジャーなどで都市部から降雪地域へ向かう場合、乾燥路を走行する時間は長い。夏タイヤと比べて遜色がないこれらの特徴は大きなメリットだ。

 目的地に近い上信越道・信州中野ICを降り、しばらく走行すると周囲の風景は一変する。路面は踏み固められた雪やシャーベット、さらに一部にはアイスバーンも出現する。ワインディング路では、雪道に慣れている周りの車に合わせて走行するのを躊躇してしまうようなシーンもあったが、「アイスナビ8」は確実に路面を掴んで止まり、しっかりと加速する。そして、安定感のあるハンドル操作ができるため、いつの間にか運転が楽しくなる感覚だ。

 氷雪性能はもちろん、非降雪路面での性能など、トータルバランスの進化を確実に感じられるスタッドレスが新たに誕生した。


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