タイヤワールド館ベスト帯広店は三光グループ(北海道帯広市、髙橋繁樹会長)が運営母体のフランチャイズ店。グループの発祥の地で、同店は強い存在感を示し続けている。
グループの礎となる有限会社髙橋商事(北海道帯広市、髙橋義美社長)は1971年に創業した。当初はトラック・バス用タイヤの回収と更生タイヤ用台タイヤの販売が事業の中心だった。
その創業からさして時間をおかずに、新品タイヤの販売事業にも取り組む。その主戦場がタイヤ&ホイール タカハシ、すなわちタイヤワールド館ベスト帯広店の前身である。髙橋商事の松本理仁専務取締役によると、同店は現店舗から通りを挟んで斜(はす)向かい、現在の髙橋商事の本社ビルが建つところで商売をしていたという。
「2006年から現在のタイヤワールド館ベスト帯広店として営業を始めているのですが、古くからのお客様は今も『タイヤのタカハシ』で通っているほど。それくらい地元では浸透しており、お客様の暮らしにとけ込んだ存在になっていると思います」、このように松本専務は語る。
タイヤワールド館ベスト帯広店の所在地は帯広市大通南17丁目1番地。碁盤目状に区画整備された市街地を貫く国道236号線、通称・大通り沿いに建ち、JR帯広駅から徒歩圏内にある。駅の周辺はビジネスホテルが林立し、ちょっとしたビジネス街を形成。そこを離れると、住宅街と郊外型の商業施設、さらに農業や畜産、酪農といった第一次産業の現場が拡がっている。
スタッフの陣容は松嶋新治店長をはじめ、店内4人、ピット4人の8人体制。それに髙橋商事で業務やネット販売に携わるスタッフが4人おり、総勢12人となる。
「十勝地区の人口は約36万人で、帯広はその商業の中心地。人口が約17万人ですが、店には市内だけでなく、十勝地区全域から多くいらっしゃいます。また北見や釧路、えりも等、道東地区からも来店があります」と松嶋店長が言うように、店の商圏は非常に広い。東京の尺度には当てはまらないレベルだ。
しかも、これらの地区ではクルマの所有は一家に1台ではなく、一人に1台という完全なクルマ社会が形成されている。従って、クルマに対するニーズ、そしてタイヤに対するニーズは非常に多様性に富んでいると考えて間違いない。
松嶋店長は「性能やデザインに強いこだわりを持つお客様がいれば、一方では価格しか見ないお客様もいる。どのようなお客様が来られても、きっちりと対応することができるよう、商品のラインアップを充実させています」と、店での取り組みについて紹介する。当然、スタッフにはそれに応じた商品知識や作業技能が要求されるはず。帯広店では日々、自己研鑽に取り組みスキルアップに努めているという。
昨今の販売状況を訊いたところ、「タイヤ・ホイールの売上げは対前年比5%アップ」と、松本専務は答えてくれた。昨年は“超”の修飾語が冠につく暖冬で、頼みのスタッドレス商戦が危機的状況だったのは周知のところ。その厳しい環境において、しっかりと成長を続けることができたのは、「決して売り急がず、お客様が本当にお求めになっているものを見極めて、一番良いと思われる商品をご提案する」(松嶋店長)という販売スタンスによるものに違いない。
また、道内屈指の在庫量を誇る中古タイヤの取り扱いも、それに貢献している。タイヤワールド館ベスト帯広店は、タイヤ・ホイール専門店としては珍しい2階建て。その2階に中古タイヤ・ホイールを一斉展示し、その品揃えの良さ、品質管理の高さを強力にアピールしているのだ。「タイヤ・ホイールのことなら、すべてお任せください」という松本専務の言葉がそこに体現されている。
「ただ」と、松本専務は次のように続ける。「裏を返せば、それしかできないという意味にもなってしまうのですね。さらなる成長を期すには、もっと店が進化しなければいけない」――。
そこで早速取り組むのが4輪アライメントだ。この8月中旬にも機器を新規導入するという。併せて、足廻りパーツの取り扱いも開始する。「これまで受け身の感が強かったのですが、これからは攻めの態勢を構築し、時代に合った商売を展開していきたい」、松嶋店長はそう意気込みを見せる。