「CHAOYANG」(チャオヤン)ブランドのトラック用タイヤの国内販売を昨年から始めたヨロズ物流(大阪府富田林市)。そのコストメリットを活かして運送会社やタイヤ販売店へのアプローチを強めている。既に2000本以上を販売しており、将来的には10倍以上のセールスを目指したい考えだ。
「チャオヤン」は中国のZCラバーが展開するブランドの一つ。ZCラバーは1958年に設立した後、2020年の売上高ベースでは世界9位までに成長した。ヨロズ物流によると、ハンドリング性能やコストパフォーマンスの高さから世界中で多くのユーザーを獲得しているという。同社営業担当の田中正悟氏は、「新車用タイヤも生産しており、自動車メーカーからの信頼が高い。ZCラバーは今後も伸びていくだろう」と話す。
運送事業者であるヨロズ物流がタイヤの取り扱いを始めたのは、自社のトラックに中国メーカーのタイヤを採用したことがきっかけだ。コスト削減を図るために、当初はZCラバーとは別の中国メーカー製品を導入。タイヤのコストを100万円ほど削減しただけではなく、性能面でも問題はなかったことから本格的な事業展開を検討する中で、ZCラバーと出会ったという。同社は以前から中国への輸出入を得意とし、これまでに多くのビジネスを行ってきたことも背景にある。その後、交渉が進み、業務提携を交わしてチャオヤンジャパンを発足した。
「チャオヤン」の訴求ポイントは第一にコスト面だ。田中氏は「購入本数によって差はあるが、大手メーカーと比較して35%ほど導入コストは下がる」と試算する。ただ、台タイヤの輸送コストなどを考慮してリトレッドは現時点では行わないという。「大手メーカーによるランニングコストの提案とは別の考え方」とし、住み分けを図る。
性能面でもユーザーからの評価は上々のようだ。「チャオヤン」を導入したある運送会社では従来使用していたタイヤと比べて平均約4%の燃費向上が実証されたという。
一方で、今後の事業拡大へ向けて重要となるのがタイヤの保管場所と交換作業を担うタイヤ販売店だ。
現在は大阪にあるヨロズ物流の倉庫から発送しているが、ほかのエリアに拠点があれば、一層のコスト削減にもつなげられる。その上で田中氏は「運送会社に関心を持って頂き、『チャオヤンを使用したい』と言って頂けるようにしたい。タイヤ販売店の方にはそのお客様を紹介しつつ、一緒になって販売拡大のお手伝いができれば」と展望を話す。
同社では今後、既存ユーザーから得られた燃費データや性能評価をもとにアプローチを一層加速するとともに、スタッドレスなどラインアップの拡充も検討していく。燃料費の高騰をはじめとして輸送事業者の経営状況が圧迫される中、課題解決の一つとしてどこまで市場に浸透していけるか注目だ。