日本ミシュランタイヤは二輪用タイヤ「ROAD 6」「ROAD6 GT」を2月16日から順次発売した。昨年12月1日には栃木県のプルービンググラウンドでメディア試乗会を開催。スポーツツーリングカテゴリーにおける新製品の実力を紹介した。
ライダーの声に応えるパフォーマンス
「ROAD 6」「ROAD 6 GT」は、スポーツツーリング向けの「ROAD」シリーズにおける4年振りの新商品だ。2002年に初代製品を発売した同シリーズでは、これまで最新技術を惜しみなく投入してきた。新商品についても、二輪事業部の山田寿一マーケティングマネージャーは「20年間にわたる絶え間ない技術革新と最新のテクノロジーが導入されている」と強調する。
同社によると、スポーツツーリングタイヤに対しては、ユーザーから「ツーリングに出かける時はストレスを感じることなく自由な時間を楽しみたい」「タイヤが摩耗しても高いパフォーマンスを維持し、安心してライディングしたい」といった声があがるそうだ。
「ROAD 6」はこうした高い要求に応えるため、従来品(ROAD 5)と比較してウェットグリップ性能を15%向上。ドライグリップとハンドリング性能は従来品と同等のパフォーマンスを維持しながら、耐摩耗性能は10%、高速安定性は5%高めた。
ターゲット車種はスーパースポーツ/ロードスター、トレイル、ツアラー(GT)と幅広く対応。発売サイズは「ROAD 6」がフロント6サイズ、リア8サイズ、「ROAD6 GT」がフロント1サイズ、リア3サイズの全18サイズを展開する。
安心安全なライディングを実現
トレッドデザインでは新設計のパターンを採用した。トレッド全体に対する溝面積の割合(ボイドレシオ)は14%に設定し、ドライ&ウェット路面における優れたパフォーマンスの実現を図った。
サイプには、摩耗が進むにつれてサイプの幅が広がるように設計する3Dサイプテクノロジーを適用した。これにより摩耗後も高い排水性能を確保。サイプのエッジには面取りを施し、極端な条件下での異常摩耗を抑制しながら高いブレーキ性能も実現する。
さらに、グルーブデザインやサイプの角度(アングル)を最適化し、横方向のグリップ力を向上させた。
また、リーンアングルに応じた最適なボイドレシオを確保したことで優れた排水性能を発揮するという。山田氏は「ライダーにとって安心安全にウェット路面を走行できるトレッドデザインになった」と紹介した。
コンパウンドには、新開発の100%シリカ配合コンパウンドを採用した。
さらに、フロント、リアともに2CT+(デュアル・コンパウンド・テクノロジー・プラス)を適用。2CT+はトレッドショルダー部のソフトラバー・コンパウンドのベースにハードラバー・コンパウンドを使う技術で、これによりコーナリング時に最適な剛性を確保することができる。従来はリアタイヤのみ2CT+を採用してきたが、今回フロントにも適用したことで、「コーナリング時の安定性がさらに向上した」(山田氏)。
また、センター部は耐久性に対して効果があるコンパウンド、ショルダー部はコーナリング時に高いウェットグリップ性能を発揮するコンパウンドとし、ウェット性能と耐摩耗性の両立を目指している。
内部構造に関しては、重量車向けの「ROAD 6 GT」のリアで、「ROAD 6」から更に1枚ポリエステルプライを追加した。同社では「重量車に荷物を積み、タンデムで快適なロングツーリングをする場合に必要な高い剛性と安定性を提供する」としている。
デザイン面では、サイドウォールにプレミアムタッチデザインを使用。山田氏は「コントラストが強調され、深みのある黒の陰影を作り出すことができた」と話していた。
実際に新商品に試乗したゲストライダーの岡田忠之氏は、そのインプレッションを次のように語る。
「従来品『ROAD 5』と新商品『ROAD 6』のワインディングを同じ車種で比較した。『ROAD5』は路面をつかむようなラバー感があり、悪い意味ではないが重さ、接地感がある中で切り返すことができる。
一方『ROAD 6』は、最初に転がり抵抗がとても少なくなっていると感じた。ラバー感が薄れている訳ではなく、タイヤ全体がカチッとしっかりした印象だ。『ROAD5』と比較してネチッとした感じがなくなったため、旋回時に素直に曲がっていける」
ウェット路面の走行に関しては、「思いっきりブレーキをかけても、しっかり感はあるが全く滑らない」と評価。ドライ路面では、高速・高荷重でハードに扱った際にグリップ性能の向上を体感したという。
二輪事業部の高本久徳部長は、「『ROAD6』を使って頂くことで安全性や快適性が向上し、ライダーの負担が大きく軽減される。耐久性も良く廃タイヤの削減にも繋がるため、皆さんにはぜひこの新商品を使用して頂きたい」と力強く述べていた。