ブリヂストンタイヤソリューションジャパン(BTSJ)は6月21日、タイヤメンテナンスの技能を競う競技会「第11回技能グランプリ全国大会」を名古屋市内で開催した。技能グランプリは、タイヤユーザーやメンテナンススタッフの安全確保、人材育成、サービス品質の向上などを目指す取り組みだ。BTSJの久米伸吾社長は、「高品質なサービスの提供を通じて、輸送事業者のビジネスを足元から支えていきたい」と抱負を述べた。
現在の運送業界は、Eコマース市場の拡大に伴う宅配個数の増加や、働き方改革、環境対応などで経営環境が激しく変化している。さらに、大型車の車輪脱落事故件数も高止まりしており、この問題についてBTSJの菊地俊夫執行役員は「社会課題として捉えるべき」と指摘する。
こうした状況を踏まえ、ブリヂストンでは、新品タイヤやリトレッドタイヤ、メンテナンスを組み合わせた、輸送事業者の課題解決に向けたサービスの訴求に注力している。また、リトレッドタイヤの活用による省資源性の向上や廃棄物の削減を提案し、輸送事業者の環境対応への貢献を図ってきた。
車輪脱落事故に関しては、メンテナンス品質向上を目指す4つの取り組みを推進する。その一つは活動の基盤作りだ。同社グループでは作業標準を制定し、メンテナンスの作業フローや順守事項、注意点、危険行為などを示しており、毎年改定も行ってきた。
また、意識の醸成にも力を入れる。例えば国土交通省から緊急対策の通達が出た際には、ドライバーや輸送事業者、ブリヂストンタイヤショップにチラシやダイレクトメールを届け、情報提供、安全啓発に取り組んできた。同社グループが安全運行を支える中核に据えるメンテナンススタッフに対しては、指導・研修を通じた技術向上を推進している。
基盤、意識、技術に関連する活動に加えてブリヂストンが取り組むのが、高品質なメンテナンス作業を発揮させる仕組み作りだ。技能グランプリは、その一環として開催されてきた。
技能グランプリは、トラック・バス用タイヤのメンテナンス品質の更なる向上を目的に2010年に開始。直営店やブリヂストンタイヤショップのスタッフが参加しており、今回の第11回大会までに延べ4400名が地区予選で技能を競ってきた。
選ばれたスタッフが参戦する全国大会では、最高峰の技能レベルを有する技能エキスパートや、特に安全性、確実性、迅速性を満たした技能マイスターを認定。それぞれの認定者はメンテナンススタッフのリーダーとして活動し、指導者の役割を担っているという。
今回大会は、延期となっていた2021年大会として実施。2020年大会は新型コロナ感染拡大のため中止しており、3年ぶりの開催となった。
当日の全国大会には、国内1000以上のブリヂストングループおよび関連のトラック・バス用タイヤ販売店から223名が出場した地区予選を勝ち抜いた代表選手40名が参加。トレーラーヘッドのパンクしたリア右内輪をスペアタイヤに交換する作業を競い合い、新たに14名が技能エキスパートに、このうち4名が技能マイスターに認定された。
ブリヂストングループでは、技能グランプリなどで培った、高度な知識と技術を持つスタッフによる高品質なサービスによって、輸送事業者のビジネスを足元から支える考えだ。あわせて、高品質なトラック・バス用タイヤの提供や、全国にあるサービスネットワーク、デジタル技術の活用も通じて「安全運行、環境負荷低減、業務効率化、経費削減といった様々な顧客価値や社会価値の提供に日々取り組んでいく」(久米社長)と決意を示した。