9月9日にブリヂストンタイヤソリューションジャパンとトーヨータイヤジャパンがそれぞれタイヤ整備をテーマにしたコンテストを開催し、出場者は日々の業務の中で磨き上げてきた技術を競い合った。近年は大型車の脱輪事故件数が高止まりし、安全への取り組みが一層強く求められる中、技術レベルや知識をより一層高めて輸送業界の安心・安全に貢献していく。
ブリヂストンタイヤソリューションジャパンは仙台市内で、タイヤメンテナンスの技能を競う競技会「第12回技能グランプリ全国大会」と、セールススタッフによる運送事業者への課題解決・提案力を競う「第6回生産財セールスマンコンテスト」を開催した。
ブリヂストンは商品やサービス、サービスネットワークをデジタルでつなぎ、顧客ごとにカスタマイズしたソリューションサービスの提供を推進しており、この競技会はグループの生産財ソリューション事業の強化に向けて実施したもの。
ブリヂストンタイヤソリューションジャパンのソリューション事業管掌兼小売・サービス事業管掌の吉眞弘専務執行役員は、「カスタマイズを提供していくためには顧客のことを顧客以上に知り、提案し、実行することが重要」と強調する。その上で、「これらは全て人が行う。人がソリューションの基本となる」と、ソリューション人材を育成する意義を話した。また、メンテナンスサービス品質や技術力、ソリューション提案力を向上することは、ブリヂストンの企業コミットメントで掲げる「人とモノの移動を止めず、さらにその革新を支えていくこと」にも貢献する。
「技能グランプリ全国大会」は、ブリヂストングループと関連の国内タイヤ販売店スタッフのタイヤメンテナンスの品質向上を目的に実施。大会では高い技能レベルを有するメンテナンススタッフを「技能エキスパート」と認定。そのうち、安全性や確実性、迅速性、知識などの点で特に優れた技能エキスパートを「技能マイスター」としている。認定者はメンテナンススタッフのリーダーとして活動し、メンテナンス技術を次世代へ伝えていく役割を担う。
今回の全国大会には、国内1000以上のブリヂストングループおよび関連のトラック・バス用タイヤ販売店から地区予選を勝ち抜いた代表者40名が参加。新たに13名が技能エキスパート、5名が技能マイスターに認定された。
また、同日の「生産財セールスマンコンテスト」では、多様化・深刻化する輸送業界をはじめとした顧客の課題に対し、社会価値・顧客価値の創出につながる提案力の向上を図っている。競技はロールプレイング形式を採用し、全国334名の参加者から予選を勝ち抜いた16名が参加した。
トーヨータイヤジャパンは新潟県長岡市で「第3回トラック・バス用タイヤ作業コンテスト」を開いた。同社は2018年に初めてコンテストを開き、2020年、2021年はコロナ禍で中止を余儀なくされていたため、今回は3年ぶりの開催となった。
報道向けの説明会で取締役執行役員企画本部長の荒木隆史氏は、「このコンテストは交換作業者の技術向上と作業標準の徹底を目的にしている。このような活動を継続的に行うことで安全なモビリティ社会に貢献していきたい」と取り組みの意義を話し、「レベルの高いサービスの提供を通じて物流会社の安全運行のパートナーを目指していく」と展望を示した。
今回のコンテストにはトーヨータイヤジャパンの全国5支社から選ばれた8名、代理店2社から2名の合計10名が参加。
実技は、左リアタイヤにパンクが発生したトラックユーザーが来店したという条件で実施。正しい作業知識や安全な作業が遂行できているかといった点のほか、連結式ナット回転指示インジケーターの装着や作業後の増し締め入庫の提案といった車輪脱落事故防止につながるポイントも重視した。
競技を終えて取材に応じた新潟トーヨー上越営業所の牛木剛士さんは、「日々の業務では大勢の方が見ている前で作業したり、お客様への提案を行う機会は多くないので、今回参加できたことは今後の業務にも活かせる良い経験になった」と話していた。
なお、前日に行われた筆記テストと実技テストの結果、トーヨータイヤジャパン関東支社深谷営業所の高野将太さんが1位、トーヨータイヤジャパン西日本支社広島営業所の内本辰朗さんが2位となった。この2名はトーヨータイヤジャパンのサービスマン資格制度で最上位の「サービスマスター」を獲得した。