住友ゴム工業は9月11日、宮城県のタイヤランド仙台東で「第7回全国TB作業コンテスト」を開催した。この大会は、①トラック・バス用タイヤの安全・確実・効率的な作業の徹底と標準化を図る②作業従事者の作業レベルの向上③作業従事者のモチベーションを高める――この3点を目的に2010年にスタートした。
同社は生産財タイヤの整備作業を向上するため、2008年に初めて作業マニュアルを発行。その後、2013年には各地区の販売会社と連携した作業プロジェクトを発足させ、独自の認定制度や安全の取り組みについて議論を進めてきた。
その中で2014年には社内認定制度「T3」(TB TECHNICAL TRAINER)を導入。この制度は高い技術力を有した指導者として技術を伝承することが主な役割となる。これまで全国の直営店のスタッフ約200名が取得しているが、今年からはダンロップ・タイヤ・ショップ・グループのタイヤ専業店にも対象を拡大している。なお、全国TB作業コンテストに出場するための地区選考会に参加するには、このT3認定が必要となっている。
現地で会見したタイヤ国内リプレイス営業本部の志賀美也リテール部長は、現在、全社で取り組んでいる「サービスイノベーション活動」について触れ、「この活動はお客さまの価値と満足を創造することであり、顧客の要望を事前に察知して期待を超える価値やサービスを提供すること。タイヤのプロフェッショナルとして販売、接客、作業、配送、受注などそれぞれのプロを目指す」と述べた。
その上で「作業のプロにもっとスポットライトを当てて、作業従事者のレベルアップやモチベーションアップを図っていく仕組みが必要」と話した。
今年の競技内容は、運行管理者から「右後輪がパンクした」と連絡が入り、出張作業で規定時間内にパンクしたタイヤを特定し交換するというもの。複数の審査員が作業標準の遵守度や技能レベルなどを評価するほか、顧客への結果報告とアドバイスも審査の対象となる。また実技とは別に、タイヤの基礎知識や損傷判定などを問う筆記試験が行われた。
当日は全国の販売会社10社から選抜された10名が出場し、日頃の業務で培った技術を競い合った。
夕方には表彰式が行われ、タイヤランド郡山(ダンロップタイヤ東北)の下川孝史さんが優勝した。また2位にタイヤランド豊田中央(ダンロップタイヤ中部)の神崎陽太さん、3位にはタイヤランド四国中央(ダンロップタイヤ四国)の前田真宏さんが選ばれた。
優勝した下川さんは、「現場に戻ったら、より多くのスタッフに技術を伝承し、安全・確実・効率的な作業の浸透に貢献したい。またコンテストを通してほかの参加者の作業から得る“気づき”も多くあった。これからもさらなるレベルアップに繋げていく」と話した。
なお、下川さんが在籍する店舗では優勝を記念した看板を掲げることができ、また来年のコンテストでは審査員を務める。
住友ゴムではメンテナンス作業は“商品”と位置づけており、その価値をいかに上げていくが今後の課題となる。
志賀部長は、「生産財タイヤのビジネスで商品力、営業力、作業力の3つが不可欠であり、作業は商品と営業の下支えとなる」とその重要性を話す。今回のコンテストなどを通じて、作業力の“価値”をさらに磨き上げていく考えだ。