リトレッドに新品の輝きを 江戸川合成が提案する「アクアリコート」

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カテゴリー: レポート, 現地

篠原社長に聞く 江戸川合成の強み 顧客と協業し、価値創造を

 ――江戸川合成の歴史と培ってきた強みは。

 「1935年に創業者の篠原忠雄が東京都渋谷区で塗料の販売を開始したことから始まりました。さらに、1941年に東京都台東区で合名会社篠原塗料製品所を設立、江戸川区には工場を建設して塗料の製造をスタートしています。その後、1961年に社名を現在の江戸川合成に変更しました。

 当社は専門性の高い分野に特化しており、企業のスローガンとして“ニーズに応える創造力。”を掲げています。塗料には様々な用途があり、当社は主に工業用塗料を取り扱っています。大手塗料メーカーとは異なる領域で、付加価値が高い製品に特化していくという戦略を推進しています。

 ニーズは多岐にわたります。例えば特性や作業性などお客様からのご要望が非常に細分化されており、それぞれのご要望を満たす特殊塗料の開発を得意としています。

 当社が製品を開発して提案するケースもありますが、お客様のニーズを確認し、『こういった特性を出せないか』、あるいは『こういった課題を解決したい』など様々なご要望に応えるために製品をカスタマイズして供給することもあります」

 ――顧客から特に強く求められているニーズは。

 「国内の需要は全体では頭打ちになっています。例えば、有機溶剤を使用するような製品は環境負荷低減の観点から極力使用しない方向になってきていますし、製造業の海外移転が進んだ影響もあるように感じています。

 こうした中で、昨今は環境負荷低減への対応が必須になってきています。いかにサプライチェーン全体として環境負荷を低減していくかという流れが加速し、多少コストが上昇しても環境に貢献できる塗料をご採用頂くケースも出てきています」

 ――タイヤ用の「アクアリコート」への期待は。

 「塗料の主な役割は保護・美装・機能性付加の3点です。保護は素材を守ることです。例えば、鉄は何もしなければ『錆』という化学変化を起こしてしまいますが、コーティングすることで素材を守る役割を持たせることが可能です。美装はデザインや美しさ、機能性付加は電気が流れるようにしたり、結露が出ないようにしたりと、機能を加えることです。

 『アクアリコート』にもこれらの3つの役割があります。美装はリトレッドを新品のような美しい色合いにすることです。保護も重要であり、表面を塗装処理することによってゴムの劣化を抑えて長くご使用することを可能にします。

 さらに、タイヤに今まで無かったような価値を加えることができないか――ここにも我々の役割が出てくるのです。お客様ごとに課題は異なりますので、それをいかに解決できるのかが当社のテーマになっています。

 そして、重要なのは当社だけではなくタイヤメーカーや更生タイヤメーカーといったお客様と一緒になって考えていくことです。今後どういった付加価値が必要なのか、そこを模索していきます」

 ――今後の展望を。

 「キーワードは“協業”です。『アクアリコート』を例にしますと、当社にはタイヤの専門知識はありませんし、タイヤの将来像も分かりません。ただ、タイヤメーカーと塗料を作っている当社が互いの知識や夢、あるいは業界として取り組むべきことを共有することによって、適切な商材が新たに誕生することにつながります。

 我々が他の専門分野の方々と一緒に仕事をして、今まで世の中になかったような商材を生み出していく――そういった仕事をしていく必要があります。そのためには柔軟性や創造力が必要です。ニーズに合致した製品を作り上げていく開発力も必要ですので、今後もリソースを投入していきます」


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