1月13日から15日の3日間、千葉市の幕張メッセで開催された世界有数のカスタムカーのイベント「東京オートサロン2023」。来場者数は17万9434人となり、盛況のうちに幕を閉じた。会場では近年人気のSUVをはじめ、最新のスポーツモデル、ラグジュアリーカーなどが高い存在感を発揮。タイヤメーカー各社もそれぞれのブランドが持つ世界観を全面に押し出し、クルマの魅力や楽しさ、興奮を演出して多くの来場者を惹きつけていた。
モータースポーツ活動60周年を迎えたブリヂストンは、1963年の第1回日本グランプリへの参画以来、モータースポーツ活動を通じて「走るわくわく」をサポートしてきた歩みを紹介した。
ブースでは、初代POTENZA(ポテンザ)ブランドのタイヤ「POTENZA RE47」や、国内タイヤメーカーとして初めてポルシェの新車装着を獲得した「POTENZA RE71」といった歴史的な商品を展示。さらに、従来の天然ゴムの代替品の役割を担う、グアユール由来の天然ゴムを使用したインディカーシリーズ用タイヤ「Firestone Firehawk」や、豪州のソーラーカーレース、ブリヂストン・ワールドソーラーチャレンジで採用されたタイヤなども出品し、サステナブルなモータースポーツを支える取り組みもPRしていた。
展示スペースの中心では、昨年のTOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cupで3連勝を達成した新商品「POTENZA RE-09D」や、昨年の全日本ジムカーナ選手権で3クラスのチャンピオンを獲得した「POTENZA RE-12D TYPE A」など、POTENZAの商品ラインアップを並べた。
POTENZA商品の展示には、トレッドデザインの働きなどを紹介する仕掛けも設け、同社が強みとする「接地を極める」技術が表現されていた。
ブース担当者も「接地はもとからこだわってきたが、最近は改めてその部分を極めていきたいと考えている」とコメント。さらに、「『RE-09D』も、『ポテンザRE-08D』を改良する際、接地を見直すことで良い結果につながった。こうした技術を他の後継商品にも活かしていきたい」と話していた。
住友ゴム工業は「DUNLOP otona GARAGE」をテーマに出展し、展示スペースではアウトドア・ホビー・チューニング・クラシックの各コンセプトをイメージしたガレージを展開した。
担当者は、「自動車に関してはCASE、MaaSなどが進展し、未来に対するワクワク感がある一方で、クルマそのものや、運転、カスタマイズに対するワクワク感も当然ある。今回は後者のワクワク感を表現した」と話していた。特に30~40代の男性をターゲットにし、この年代の多様な趣味嗜好に沿ったガレージを表現したという。
アウトドアのエリアでは、「ALL SEASON MAXX AS1」を装着したルノー「カングー」を展示。家族でキャンプ場などに向かうシーンで急に天候が変わっても、安心して運転できるオールシーズンタイヤのメリットを訴求した。
ホビーでは、様々な趣味を持つドライバーに向けてスズキ「ジムニー」にオフロード用タイヤ「GRANDTREK MT2」を装着して紹介したほか、チューニングでは「DIREZZA 03G」と「SP SPORT MAXX 060+」、クラシックではMINI用タイヤを履いた車両をそれぞれ展示した。
ブース内では冬用のSUV向けコンセプトタイヤも出品していた。ゴツゴツしたトレッドを持ち、サイドウォールの片側ではホワイトレターを採用。反対側はデザイン性のあるサイドウォールになっており、来場者にどちらのデザインが好みかアンケートを行っていた。発売は未定だが、担当者は、「SUV向けでデザイン性を重視した冬タイヤはあまりない。もしコンセプトタイヤのような商品があれば、年間を通して購入者のカーライフを充実させることができるのではないかと考えた」と話していた。
横浜ゴムのタイヤブースでは、「ADVAN」(アドバン)、「GEOLANDAR」(ジオランダー)を中心に展示。車両のカスタムに使用されることが多い2大ブランドとして訴求し、同社のタイヤを使用した様々なカスタムスタイルを提案した。
「アドバン」はポルシェの「Cayman」(ケイマン)、トヨタ自動車の「GR COROLLA」とのマッチングを通して“ハイパフォーマンス”や“スポーツ”のイメージをアピールした。
担当者は「昨年2月に発売した『ADVAN NEOVA AD09』では、ポルシェに対応するサイズを追加した」とした上で「ポルシェは選べるタイヤがさほど多くなかった。スポーツタイヤの販売に注力する当社で新たな選択肢を提案していければ」と話した。
さらに、トヨタ「LAND CRUISER 300」に「ADVAN Sport V107」を装着し、SUVとのマッチングも提案。また、トヨタ「TOWN ACE」(タウンエース)には「GEOLANDAR X-AT」を組み合わせ、アウトドアシーンにおけるドレスアップのイメージを示した。
そのほか、3月に発売する同社初のキャンピングカー向けタイヤ「BluEarth-Camper」(ブルーアース・キャンパー)も初披露したほか、タミヤの「ミニ四駆実車化プロジェクト」で製作された「タミヤ エアロアバンテ アドバンカラー」を展示し、若年層とのタッチポイントの形成も図っていた。
TOYO TIRE(トーヨータイヤ)は「Boost Your Engine」をテーマに出展した。
ブースでは2月から順次発売予定の「PROXES Sport 2」を装着したトヨタ自動車の「GR86 SDESIGN SD3」を展示。「PROXES Sport 2」では、非対称のトレッドパターンなどによりスポーツタイヤに求められるハンドリング性能とブレーキ性能の高次元での実現を目指している。
水谷保技術開発本部長は「欧州などでは低温の低μ(ミュー)路がある。そういった場所でもグリップが発揮できるように、低温でゴムの効き、柔らかさが発揮されるコンパウンドを採用したのが進化のポイント」と説明した。
また、3月から順次発売する「PROXES ComfortⅡs」も三菱自動車「OUTLANDER PHEV HASEPRO Ver.」に装着して展示し、SUVとのマッチングを訴求。同製品では、従来品(PROXES C1S)で好評を得た静粛性を高めた。水谷本部長は「低燃費に寄与する配合に変更し、ウェット性能と両立しつつ環境性能の向上を図った。PHEVやEVにマッチするタイヤだ」と自信を示した。
そのほか、「OPEN COUNTRY M/T R」を装着したダカールラリー仕様のトヨタ「ランドクルーザー300 GRスポーツ」などの展示を通じ、モータースポーツ活動へのさらなる挑戦や商品ラインアップの充実を図るTOYO TIREの取り組みをアピールした。