小野谷機工は1月にトラック・バス用の超偏平ワイドシングルタイヤからライトトラック用タイヤ、乗用車用タイヤまで幅広く対応したホイールバランサー「ダイナマックス TBm-MAX」を発売した。新モデルは21.5インチの大型タッチパネル液晶モニターを採用して作業性を大きく向上させたほか、安全作業や軽労化につながる機能を備えたハイエンドモデルとなる。開発を担当した商品開発本部技術開発部兼サービス機器営業本部販売企画部の杉本和則部長に、新製品の主な特徴を解説してもらった。
ワイドシングルから乗用車用タイヤまで対応
ホイールバランサー「ダイナマックス TBm-MAX」の適応リム径は10~30インチ、適用リム幅は2~20インチ。測定重量は最大250kg、最大外径1100mmとなっており、超偏平タイヤを含むトラック・バス用タイヤから乗用車用タイヤまで幅広く対応させた。小野谷機工のラインアップ中で“ハイエンドモデル”と位置付けられており、視野性が良く直感的な操作を実現する大型タッチパネル液晶モニターと各種センサーを搭載して新登場した。
この液晶モニターは新製品の大きな特徴で、これだけ大きな画面、タッチパネルを備えた機種は市場でほぼ見当たらないという。杉本部長は「液晶画面が小さいと操作するボタンも小さくなってしまい、作業がやりにくくなるが、このモデルに採用したモニターは大きく、使い勝手が良い」と自信を示す。タッチパネルは21.5インチで、パソコンのモニターを縦に配置したようなイメージだ。カラー表示で日本語に対応しているほか、ハイエンド機に相応しい質感も高めている。薄手のものなら手袋をしたままでも対応が可能だ。
実際の作業をデモンストレーションしてもらった。まず、タッチパネルで「トラック・バス用タイヤ」「乗用車用タイヤ」と測定するタイヤのカテゴリーを指定する。「ダイナマックス TBm-MAX」は低床内蔵式リフトが標準装備されているため、重量のある大型タイヤを簡単にセッティングできるのも安心だ。各ホイールの取り付けにはセンターオフセット10穴ホイール(ISO)、TB-10穴ホイール(ISO)、TB-8穴ホイール(JIS/ISO)が標準となっており、LTホイール(JIS/ISO)、PCホイールはオプションで用意した。
通常はセットした後にホイールサイズやウェイトを貼り付ける幅、ディスタンスといった情報をオペレーターがインプットするのに対し、「ダイナマックス TBm-MAX」はモニターの「スキャンボタン」を押せば、センサーが計測し、各種情報が自動入力される仕組みになっている。なお、タイヤガードは閉め忘れが無いように自動開閉式を採用して安全性を向上したほか、バックマッドガードにより泥はね防止にも配慮した。
また、計測は一般的には5グラム単位で表示されるが、よりシビアな情報が必要な場合は「ファインスイッチ」を押すと1グラム単位で確認することもできる。
測定時の回転スピードはトラック・バス用タイヤで約90rpm、乗用車用タイヤでは約110rpmとなっており、「回転が遅ければ、その分、機械が止まるのも早い。作業の安全性が高まり、トータルで考えれば時間短縮につながる」(杉本部長)という。
測定が終了すると同時に、イン側の修正位置を自動で検出、回転が停止して電磁ロックが掛かり待機モードとなる。その後、タッチパネルのアウト側に触れると今度はアウト側の修正位置に停止してロックが行われる。ウェイトを貼り付ける際はオートポジションサーチシステムで検出された位相位置にレーザーがポイント照射され、アンバランス表示されたグラムをその場所に貼り付けるだけだ。修正後に確認の測定を行い、「OK」の表示が出れば修正作業は完了する。
液晶モニターの操作パネルには様々な機能が搭載されている。例えば、タイヤとホイールでそれぞれ最も重量がある位置を検出できる「マッチングスイッチ」機能がある。
杉本部長は「タイヤの一番重い部分とホイールの一番重い部分を真逆になるように組めばアンバランスが相殺されてウェイトの使用量は最小化できる。その組み合わせを指示してくれるもので、軽労化にもつながる」と説明する。
さらに「SPスイッチ」は機械のコンディションを作業者自身が確認でき、何らかのエラーがあればモニターで分かるようになっている。電話でサポート対応を受ける際など、「何が表示されているか」など情報を共有できるため効率化にも寄与するだろう。
自動化により、ピットで誰が作業しても同じ結果を得られる「ダイナマックス TBm-MAX」。安全性と作業性を両立したモデルとして、軽労化や作業品質の標準化など、現場の課題解決につながっていきそうだ。