タイヤワールド館ベスト 新ライン導入で“攻め”の物流を

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カテゴリー: レポート, 現地

 自動車タイヤ・ホイールの大型専門店、タイヤワールド館ベスト(本社・宮城県仙台市、菅野孝志社長)は、仙台市泉区明通3丁目28に物流倉庫を新設した。規模は敷地面積1万1050平方メートル、延べ床面積4900平方メートルで、事務所棟、倉庫棟ともに平屋建て。保管能力はタイヤとアルミホイールの合計で10万本。

作業の安全とローコストを両立する泉物流センター

自動組み込み装置
自動組み込み装置のライン

 タイヤワールド館ベストは現在、直営店を宮城県内に8店舗、フランチャイズ店を岩手県に2店舗、北海道に3店舗、合計13の店舗体制を敷く。また店舗での販売とともに、ウェブ上でオンラインショップを展開し、タイヤ・ホイールセット品の通信販売も行っている。

 同社の物流拠点は、本社に隣接する苦竹物流センターと市内2カ所にある倉庫の合計3カ所。ここで主に県内の直営店や通販での商品納入に対応していた。ただ、それではオペレーションが分散し、コストを押し上げる要因の一つとなる。また、倉庫が平屋建てではなく複層構造のため、作業性の観点からも改善の余地があるのは否めない。

 このような状況に対し、菅野社長は以前、次のように指摘していた。

 「会社としていかに収益を拡大していくか。コスト削減を図るための、長期的な視野に立った戦略的投資が必要となってきます。コスト削減という意味では、物流拠点の整備が重要となっており、そこで仙台市内に大型物流倉庫を新設する計画です。物流への投資とシステム投資、このようなローコストオペレーション体制を整えながら増販投資も一気に行いたい」

自動組み込み装置
自動組み込み装置

 泉物流センターは、市内泉地区の工業団地内に新設された。東北自動車道・泉ICに近く、本社をはじめ県内の直営店各店舗へのアクセスは至便だ。

 倉庫は搬入口と搬出口が別れており、搬出入の作業性を向上させた。それぞれの戸口にはキャノピーがしつらえられており、作業環境の向上にも意を払っている。倉庫内では3層の棚を置き、高所作業用のピッカーとフォークリフトによって、タイヤとホイールの在庫管理を行う。

 同センターの日下雄太所長は「タイヤ・ホイールという重量物を取り扱うので、作業者の安全確保が第一。安全に対する意識付けを心掛けています」と話す。

 その一方で、物流業務で“攻め”の態勢の構築を図った。それが倉庫内に新たに導入した半自動のタイヤ・アルミホイール組み付けラインである。

 これはビードクリームの塗布から、ホイールへの組み付け、軽点マーク(黄色点)とバルブとの位置合わせ、指定空気圧の充てん、バランス調整、セット梱包までをラインで一気に行うもの。新車工場の組み立てラインで稼働しているタイヤ組み付け装置と同様のものを導入したのだ。

泉物流センター
泉物流センター

 メインサイズの13~16インチホイールセット品向けに稼働し、17~18インチセット品もこれで対応するという。販売ボリュームの少ない12インチと19~20インチのセットはこれまで通り、一般的なタイヤチェンジャーやホイールバランサーを使っての手動組み付けラインで行う。

 この半自動組み付けラインの導入によって、作業時間は大幅に短縮された。組み付け自体にかかる作業時間は1本当たりわずか30秒だ。人手を介す部分も、クリームの塗布やバランスウェイトの貼付、検査などと少ない。

 泉物流センターでは、1班4~5人の体制で半自動組み付けラインのオペレーションを行う。1時間当たり30セット120本が基本的な稼働。作業の大幅な省力化を実現し、省人化と作業効率の向上を図っている。

泉物流センターの日下雄太所長
泉物流センターの日下雄太所長

 「とくに商戦期はこれまで時間との闘いを強いられていた。今回の新ラインの導入で時間を読むことができるようになり、より精度の高い出荷計画を組むことが可能となりました」と、日下所長は実感を語る。その上で、次のように続ける。

 「作業効率を追求するのであれば、全自動ラインのほうが作業時間をさらに短縮することが可能です。ただその場合、たとえばホイールに傷があったとしても、納品されるまで気付かないかもしれない。それではお客様の満足を得られません。熟練したスタッフの目でクロスチェックすることでエラーを未然に防ぎつつ、確実に納期を守り、それを少しでも早める。そういう意味では、この半自動の組み付けラインは最適な装置だと思います」

 東北地区では間もなくスタッドレスタイヤ商戦が本格化する。タイヤワールド館ベストでは物流の品質向上を図ることで、タイヤ専門店に求められる顧客満足の一層の向上を目指す。それを下支えするのがここ、泉物流センターなのである。


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