「オートプロフット APF-14F(S)」「オートプロフット APF-09F(S)」
これまで様々なタイプのタイヤチェンジャーを開発し、ユーザーニーズに応えてきた小野谷機工は、このほど“史上最強の助っ人機”と位置付けるトラック・バス用のタイヤチェンジャー「オートプロフット APF-14F(S)」と「オートプロフット APF-09F(S)」の2モデルをラインアップに加えた。オペレーターが行うのは基本的にはボタン操作のみで、偏平タイヤも含めた大型タイヤを自動で交換できる注目の新モデルだ。現場で課題になっている作業負担の軽減、人手不足の解消に大きく貢献することが期待される。
自動でトラックタイヤの交換を 、作業負担の軽減と人手不足の解消に貢献
小野谷機工では従来からオートチェンジャーを発売してきたが、今回発表した2つのモデルは機能や仕様を大きく進化させた。「オートプロフット APF-14F(S)」は、幅455ミリメートルのワイドシングルタイヤにも対応した超ワイドレンジのチェンジャー。一方、「オートプロフット APF-09F(S)」はコンパクトながら、許容タイヤ幅は315ミリメートルと従来より1サイズ拡大させた点が特徴だ。
さらに、両モデルとも今後の普及が見込まれているTPMS(タイヤ空気圧監視システム)が装着されたタイヤ・ホイールにも対応。TPMSセンサーにダメージを与えないようなタイヤ脱着作業を可能にしている。
同社ではオートチェンジャーの導入メリットとして、ボタン操作だけでタイヤの脱着を完遂できる「安全作業」、全自動運転により稼働中にほかの作業が行えることから人手不足の解消につながる「作業効率化」、そして、作業が困難な偏平タイヤの交換作業も機械が遂行することによる「労務軽減」をあげる。
新製品の実際の作業を見学させてもらった。まず、トラック用タイヤをセットし、レーザーに合わせてタイヤの中心を出す――ここまでは従来機と同じ流れだ。その後、スイッチと操作盤がある液晶パネルで、タイヤのリム径やリム幅を設定し、さらに作業内容や抜き方向などを指定。液晶モニターではイラストと文字で内容を示してくれるため、初めてでも直感的で分かりやすい操作が可能になっている。
作業モードは3種類。ガイドプレス装置の押し込み量により60偏平クラスのタイヤも確実な脱着を行う「偏平タイヤモード」、バルブ位置でタイヤビードが確実にハンプを越えてエア充てんを可能にする「ハンプ越えモード」、タイヤリフトを上昇してホイールのみを空転させることで軽点合わせを行う「軽点合わせモード」となる。
バルブを時計の6時の位置に合わせれば、そこから先はまさに“自動運転”だ。スタートボタンを押すと、作業が始まり、ビードクリームも自動で噴射される。機械がバルブを傷付けないように行ったり来たりする独特な動きを繰り返しながら作業を進めていく様子は圧巻だ。
液晶パネルには進行状況が表示され、『今何をしているのか』がモニタリングできるようになっている。従来モデルにはこのタッチパネルが無かったため、何かの拍子に機械が停止しても原因は分からなかったという。一方、新型機ではどこに異常が起きているのかといった情報も表示されるため、より利便性は高まるだろう。
なお、ビードクリームを噴射するノズルは液垂れがしにくい新しい形状を採用し、確実にタイヤとホイールの隙間へクリームを噴射できるように改良している。
また、「タイヤリフティング装置」でタイヤの出し入れがスムーズに行えるほか、「プッシュアウト装置」によってタイヤ台からの取り出しも簡単に行えるよう配慮した。さらに、身体の一部が機械エリアに入ってしまった場合はセンサーが反応して自動運転を緊急停止する機能も搭載して、安全かつ負担が少なくなるよう設計した。
同社の担当者は「脱着作業に慣れているベテランの方であれば、もしかすると手動のほうが早いかもしれないが、この機械なら女性やシニア、初心者でも同じ作業が完遂できる。そして、作業にかかる労力は圧倒的に少なくなる」と話す。その上で、「タイヤ交換は機械に任せて自動でやりながら、作業者は別の機械で他の作業を進めるなど効率化にも寄与する」とオートチェンジャー導入のメリットを訴求する。
経営ビジョンに“ソリューションカンパニー”を掲げ、その浸透を推し進める小野谷機工。この“ソリューション”という言葉には様々な意味が込められており、社会に貢献し、ユーザーに感動を与えられる製品もその一つだ。人手不足、安心安全な作業、負担軽減といった現場の困り事に対し独自の技術力で貢献する――今回の新製品はまさに“ソリューション”を具現化した好例と言える。
他社も自動化製品の開発を進める中、将来はこうした機械が当たり前に使われる時代が到来するかもしれない。同社は先駆者として市場を切り拓いていく。