タイヤ整備機器市場の現況を聞く

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カテゴリー: レポート, 整備機器

 ㈱エイワ 梶原隆氏(常務取締役)/杉村幸二氏(取締役本部長)/金子正美氏(名古屋支店長)

 発電と空圧を1ユニット化 「EPU−01」が好調推移

 ユーザーの声を開発に活かす

 業界の喫緊の課題の一つにトラック不足が挙げられる。

 22年のトラック生産はトラック(シャーシ)の生産がコロナ前の3分の2ほどに落ち込んだ。半導体不足と新型コロナによる中国・上海のロックダウンが最たる要因と指摘される。新車販売台数にもそれは顕著に現れ、22年の普通トラック新車販売台数は5万7千台と、過去10年間で最も低い。一方、普通トラックの保有台数は12年を底にゆるやかな増加傾向を示しており、22年も159万5千台と前年比微増を維持している。

 トラックのシャーシがなければ架装メーカーの仕事は成り立たない。だが架装の需要があっても納車が遅れ納期が長期化してしまう、というスパイラルが続いたままだ。タイヤ業界では、出張サービスで使われるタイヤサービスカーの需給状況がそのままそれに当てはまる。

 

――クルマの納期遅れがビジネスシーンで影響しています。

左から杉村氏、金子氏、梶原氏
左から杉村氏、金子氏、梶原氏

 梶原「足元は徐々に改善しているとは言え、旺盛な需要に対しクルマが圧倒的に足りない状況が続いています」

 杉村「この急場にどう対応すべきか、タイヤ整備に従事される皆様にとって共通の悩みです。そのような状況を改善したいという発想を具現化し開発したのが『EPU−01』です。上市以来、お陰様で高いご評価を頂いています」

 「EPU−01」とは発電機・エアーコンプレッサー・自動エアー充てん機を一つのユニットとして集約化したもの。ユニットを既存の車両に積み込み・積み下ろしすることが可能であり、それを車両に積載したまま使うこともできる。

 モデル仕様の搭載機器は静音型発電機「DCA−15LSK」、エアーコンプレッサー「EWH55PA」(7.5kw)、エアードライヤー「DRC−75HEs2」、エアータンク「EST200−140」(200ℓ)、自動エアー充てん機「PASCAL(パスカル)10」。

「EPU−01」
「EPU−01」

 タイヤのサービス作業に必要な電力と空気圧機器をオールインワンでパッケージングした。「EPU−01」にエアーインパクトレンチやエアージャッキを繋ぎ、出張先の現場で使用することが可能となる。またタイヤチェンジャーやホイールバランサーのユニットを同時に積載し接続することで、店舗やタイヤサービスカーと同等レベルの作業サービスを提供することができる。

 ユニット内部の配置に工夫を凝らしたのも特徴だ。エアーコンプレッサーやエアードライヤー、アンローダー調整ダイヤル、換気扇、圧縮機冷却ファン、それに室内灯を管理する集中制御盤や発電機の制御盤、自動エアー充てん機のモニター画面は「EPU−01」の左側面に集約させた。それにより「EPU−01」を車両から下ろさず積載した状態のまま、ユニットに搭載したすべての機器を操作することを可能にした。

 「EPU−01」の内部に搭載する各種の機器についてはカスタマイズが可能。前記内容はフルスペックで組み込んだものだが、作業サービスの内容や動力・空圧の使い方に応じ、発電機やエアーコンプレッサーなど各機器を変更できる。

 

 ――納期が2〜3週間程度ということで、特装車の納期が現状、シャーシの納期プラス架装期間3〜4カ月と想定すると、比較にならないですね。

 金子「日常業務で配送用に使用しているトラックにユニットを積載することで、タイヤサービスカーに早変わりさせることができます。出張サービスへの対応をはじめ、展示会などイベントでの動力源として利用したり、停電時のバックアップに活用することも可能にしました」

 梶原「ユニットとして開発した当初は、大型タイヤ用での活用シーンを想定していましたが、乗用車用にアレンジしたものを希望される声も多い。自分なりのカスタマイズができる点も『EPU−01』の強みと考えます」

 

 ――この商品は日頃からの営業活動によるコミュニケーションやネットワークを通じて生まれたと言えそうです。

 杉村「当社はセールスエンジニアがお客様を訪問することで、その声を機器の開発にフィードバックしています。例えばセンターロック式のタイヤチェンジャーもその一つです」

センターロック式タイヤチェンジャーの「ウィング トルネード」
センターロック式タイヤチェンジャーの「ウィング トルネード」

 オートマチックプログラムを搭載したレバーレスチェンジャー「ウィング トルネード」。エイワが市場で展開するセンターロック式タイヤチェンジャーの代表機種の一つ。また同じセンターロック式の「ウィング CL121」は20年度グッドデザイン賞を受賞した。

 タイヤチェンジャーは、ビード落とし作業を行ってからタイヤをターンテーブルに載せセッティングする、ヨーロピアンタイプと呼ばれる機種が一般的。油圧や空圧の力でホイールを固定するセンターロック式は後から登場した分、市場では馴染みがやや薄い。ただビードブレークやホイールのチャッキングという、従来は作業者が屈んで行う工程をセンターロック式ではテーブル上で行えるので、省力化を実現し作業効率を向上した。

 

 ――SUVが増えタイヤが大型化する傾向にある中、センターロック式を採用するチェンジャーが増えてきているようです。

 梶原「初期の頃、オプション品に多いリバースホイールの交換がセンターロック式では難しいという指摘を受けました。しかしその後、アタッチメントを使うことでこの問題を解消しています。また純正装着のアルミホイールをそのまま使うドライバーが増えたことで、リバースホイール自体が少なくなっています。市場環境が変化しており、センターロック式チェンジャーのメリットを改めて強く訴求していきたい」

 

 ――これからの事業の方向性を。

 杉村「より安全・軽労化を実現する機器の開発に鋭意取り組んで参ります。

 また当社では機器の使い方に関する動画サービスの展開をスタートしました。タイムスタンプを打っており、QRコードにスマホをかざすだけで調べたい部分に即座に飛ぶこともできます。お客様の利便性を追求し、アフターサービスの充実を図っていく考えです」


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